おたまさん

おたまさん 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

うちの母は幽霊は信じちゃいないが霊感は鋭い。
私が買ったり譲ってもらったりした人形の中で、妙な現象を起こしたりしたものだけ

「この人形、変な感じがする」

と言い当ててしまう。

ちなみに四年ほど前、父が毎晩うなされて食欲も減退し、ごそごそ髪に白いものが纏わり付くようになったことがあった。
それがますますひどくなってきた頃から、母が

「こりゃおたまさんだ」

と言い出した。
おたまさんと言うのは、死んだ父方の祖母の女性陣が代々愛でていた、デカいいちまさんの名前。
なぜか叔母は受けとらず父が引き継いで、しかも将来的には私が引き取ることになっていた。

私はそれを楽しみにしていたが、母の勘は間違いなく当たるのはすでにわかっていたので、慌てて寺に持って行き供養した。
その日のうちに父の容体は回復したが、もうおたまさんは顔を見るのも恐くて、そのまま寺で処分してもらった。

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寺の人(住職?)が言うには、おたまさんがそんなことをしたのはみんなに大事にされすぎたのと、男手に渡ったのと、作られてからの年月が途方もないせいで、逆に人形が苦しんでるんだ、とか言ってたらしいです。
人形はあくまで人形として扱え、と注意も受けたそうで。

母が寺まで連れてって私はいなかったので、この程度しかわかりませんが。

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