とわとわさん

とわとわさん 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

自分子供の頃からずっと”とわとわさん”って存在を聞かされて育ってきたんです。
とわとわさんは何かをサボったり、怠けたときにだけ見える存在って言われてきました。
とわとわさんは昔から自分がいる地方にいる(匿われている?)らしく両親もたびたびお世話になったそうです。

始めから変文でゴメンナサイ。

とわとわさんの特徴として
・容姿は普通のおっさん
・何かを怠ける、サボるときにだけその人の前に現れる
・子供だけじゃない大人も見える
・始めはのっぺらぼうですが、何度も会うようになると顔がだんだん現れます

まあ小さい頃は本気で聞いてても、小3くらいになると急激にバカらしくなって、でも丁度小3の頃初めてとわとわさんを見てしまうんです。

確かあの時はお習字教室に行くのがめんどくさくなって友達と一緒に遊んでいたんです。
で帰ってみるとドアの前に誰か立ってる。
郵便屋さん?セールス?って思ったんだけど明らかに服装がそんなんじゃない。
隣の中西さんが訪ねてきたのかなあと思ったんだけど、まああちらは自分の存在に気づいてないようなので「おっちゃんどうしたん?」って聞いたんだけど、こちらの存在に気づくなりその人急いで逃げたんですよね。
ええ・・・と呆然としたんだけども、よーく思い出してみたら顔が真っ白だった気がするです。
これが自分のとわとわさんとの始めての遭遇でした。

夜になってもやっぱりあの人の顔がのっぺらぼうだったか否か頭の中でぐるぐる渦巻いているんです。
幼い頃に聞かされたとわとわさんのことも頭によぎったけど”始めはのっぺらぼうですが、何度も会うようになると顔がだんだん現れます”って部分をど忘れしてていまいち当時はその存在と一致しなかった。

時間一気に飛びます。

そんでしばらくとわとわさん見ないで高校生になったわけだけれども、自分バレー部で先輩から酷いイジメを受けて学校に行けなくなっちゃんたんです。
当時は今みたいに不登校に寛容な時代じゃなかったから親からは罵られるは、担任とは1週間に1回無理やり圧迫面談させられるわ。
まあイジメた先輩達が優等生で立場的にも自分が不利だったってのもあります。
これはまた別の話。

で田舎だから外出して近所中の噂になっても困るから・・・って親からは必要時以外は外出するなと念押しされた。
自分も何もやる気起こらなくて12時くらいに起きて、夜遅くまでパソコンして・・・って典型的なニートの生活を送ってた。
そこでとわとわさんと2回目の遭遇をするんです。

ある日起きてみたら部屋に人の気配がするんであわてて掛け布団の中にもぐりこんだ。
親かなあと思ったんだけどいつも通り12時に起きたならとっくに2人とも働きに行ってる筈。
ばあちゃんの気配でもないし・・・

もしかしてこの家が不在だと思って侵入した泥棒?って思った。
もう考えられるのはそれしかないよなで意を決して布団の隙間から覗いてみた。

足があった。短パンなのか毛むくじゃらのおっさんの足っぽい。
そこに短パンのジャージがちらっと見えたんだけどもうその瞬間見るのを止めた。

フラッシュバックしたんです。
小3のときにみたあのおっさんと。
それで20秒くらいたった後確信したしたよ。
これがとわとわさんなんだって。

正直自分はとわとわさんがどうやってこの部屋に入ってきたかどうかなんてどうでもよくなって、ただただとわとわさんが実在したことに対して心の整理ができなかった。

そのあととわとわさんは10分くらい同じ場所に突っ立ってたけど気づいたらいなくなってた。
このことを境に自分はとわとわさんと頻繁に、いやほぼ毎日?会うようになってく。

そんなことがあって親には言うか真剣に迷った。
だってこれ不法侵入だしね。
でも当時は親との関係が最悪だったし、1週間に1度話すか話さないかだったから話せなかったんです。
でもここで話さなかったんで後々酷いことになるんですけど。

次の日もいつも通り起きて、起きた瞬間にやっぱり部屋の中に気配がする。
反射的に布団の中にもぐりこんで昨日と同じように見てみたらやっぱりヤツがいた。
さすがに2日連続は気味が悪くなった。
でもあの顔があののっぺらぼうだと思うと立ち向かうにも立ち向かえない。
結局その日もヤツは10分ほどして消えた。

それが1週間くらい続いてなんかこちらも変に慣れてきた自分が居てこりゃまずいと思った。
まあうすうすとわとわさんは人間ではない何かだなあとは気づいてたけど。

でもよーく思い出してみたらとわとわさんは怠けたり、サボったりした者の前に現れるって。
これはとわとわさんが自分を怠け者だと見なしていると思うとなんか腹たった。
まあ実際ニートだったんだけど高校生の俺は素直じゃないから、おれはいじめられて学校にいけないだけ。
それを理解しようとしない糞親と糞担任が悪いって自分の中で言い聞かせてた。

とわとわさんが出始めて1ヶ月ほど経った頃。
その日俺は担任との面談でいつも以上にボロカスに言われ、無茶苦茶苛立ってた。
最悪の状態で眠りについたんだけど、起きたらヤツがやっぱりいるわけよ。
んでもう頭の中がマイナスの感情でいっぱいでいつものように布団にもぐって・・・じゃなくて、とわとわさんを罵倒した。

もうかなり汚い言葉を浴びせまくった。
「俺は決して怠け者なんかじゃない!だからここにくるな!」って。
とわとわさんが見えない人が見たら即刻麻薬の幻聴が見えてるんじゃないかと疑うくらいに。

浴びせるだけの言葉を浴びせた俺は寝起きの目がだんだん正確になっていくのを感じた。
でもそれは同時にのっぺらぼうのとわとわさんの顔を見てしまうことに気づいた。

そこにいたのは予想通りとわとわさんだった。
小さい頃見たまんまだった。
でも顔はのっぺらぼうじゃない。
良くも悪くも普通のおっさんの顔だった。
でもずーっと真顔だから恐いっちゃあ恐いけど。

とわとわさんは俺と目が合うと即座に部屋から出て行った。
あわてて後を追いかけてけどそこにとわとわさんの姿はなかった。

その後とわとわさんは俺の前に姿を見せなくなった。
いわれたことが余程ショックだったのかなあと思ったけど、まあ心地よい目覚めを再び迎えることができるようになったから良かった。

でもとわとわさんとの遭遇はこれで終わりじゃなかった。
てかむしろここからが本番。

結局高校を退学した俺はみんなが大学生になった歳になっても相変わらずニート生活を送っていた。
何回か働こうとしたけど、田舎だから俺が高校を中退してひきこもってるってことはほとんどの人に知れ渡ってる。
どの仕事も最後には人間関係がギクシャクするようになって長続きしなかった。

んで20歳になった誕生日の夜、何もすることなくてやっぱりパソコンをしてたんだけど突然部屋のドアが開いた。

両親とも働いてるからいないはずなんだが、確かに開いてる。
鍵でも故障したのかなあと思ってパソコンからいったん離れてドアをチェックしたけど異状はない。
んでなんだったんだよと思いながらパソコンが置いてある机に戻ろうとしたら

ヤツがいるのを見つけてしまった

パソコンが置いてある机の横で気をつけして俺を見ている。
俺は思考停止。何が起こったのか理解できなかった。
目が合ったまま、目をそらすとなんかとてつもないことが起きそうだったからそらせない。
そのままヤツは1時間くらい同じ場所、同じポーズ、同じ顔でいてあの時の同じように部屋から出て行った。

このとき確信した。
またヤツとの時間が始まるのかって。

予想通りヤツはその日から俺の前に姿を現し始めた。
ただ前と違うのは同じ時間に同じ場所じゃなくてさまざまな時間、さまざまな場所で現れること。
服装とかは変わってないけど。

風呂入ろうとしたらいたこともあるし、朝起きたら目を開けたまま隣で寝てたこともある。
まあさすがにこのときは心臓が止まりそうになったが、特に危害を加えるわけでもないしホラーみたいに髪長い女でもないからそこまで怖くもない。
もう自分の中ではとわとわさんはとわとわさんだと割り切ってた。

でもあるときを境に妙なことに気づき始めた。
とわとわさんの顔がだんだん変わっていってるって。
すこーしずつ怒りの成分が顔に注入されていってる感じ。
怒ってんのかなあと思ってたけど。

でやっぱりどう見ても怒ってるってことに気がつき始めてだんだんヤツと遭遇するのが怖くなっていった。
それで携帯を買ってもらったことを境に俺はほとんど1日ベットの中で過ごすようになった。
こうすれば前みたいに隣でも眠られない限り大丈夫だ。
いざやばくなったら前みたいに怒鳴って追い返せば来なくなるだろうって。

んで結果からすれば20日間ほぼベットの中で過ごした。
その間高校のときみたいに起きたら部屋の中に人の気配がすることも何回かあったけど、携帯でエロい画像見ながら抜きまくってたら気にならなかった。

でも19日目でさすがに体に異変を感じ始めた。
トイレとか飯を食おうと立ち上がると立ち上がれないほどになった。
筋肉を全く使わずに寝たきりなんだから仕方ないんだけど。
おまけにとわとわさん出現率の高い風呂には入ってないから臭い臭い。

もうこれ以上とわとわさんに振り回されっぱなしではダメだと思った俺はついにヤツを追い払うことにした。

20日目。
この日はなるべくとわとわさんと遭遇できるよう行動することにしたんだがヤツはすぐにやってきた。
朝起きると部屋に気配を感じた チャンスがいきなり巡ってきた。
でもなんか変な音が聞こえる。
何かを蹴るような音だった。

やはりおそるおそる布団の隙間から覗いたらとわとわさんが部屋の柱を蹴っていた。
木の柱は硬くてビクともしてない。でもとわとわさんの足は血か何かで真っ赤に腫れ上がっていた。
何度も何度もそこになにかがあるわけでもないのに蹴り続けてる。

さすがに恐ろしくなって俺が「ひっ・・・」と少し大きめの声を上げた途端彼は蹴るのをやめた。
それで顔がこっちに向いた。
親切なことに俺の目線の位置まで頭を下げてくれた。

顔はなかった。のっぺらぼうだった。

それを見た途端布団を閉じた。で次見たときにはもういなかった。

その後帰ってきて家中に散乱した血を見て両親卒倒。
俺が殺人を犯したんじゃないかと思って警察と一緒に部屋に入り込んできて、やっと俺もことの次第を知った。

近所に人が集まってここまできたらとわとわさんなんて言ったら何て言われるか分からないから必死に身の潔白を証明した。

家宅捜索もされたが結局何も見つからずに終了。
結局半狂乱になった俺が自分を傷つけて血をばら撒いたって結論になった。
まあそれをきっかけに流石にこの地域からもいられなくなって引越しましたが。

長々とすいませんでした。
確かにみなさんのおっしゃるとおり中盤の?と思う部分に関しては自分が狂っていた部分もあるとおもっております。

だからこそこの話はいままで話せずにいました。
ですがとわとわさんに関する伝承、小3のときに見たのっぺらぼうは確かに事実と言えます。
血が飛び散った件に関してはもうごちゃごちゃになってわかりませんが。

本編ぽいものはここで終わりです。

今は大学に行ってます。
きっかけは親から泣いて頼まれたこと。
例の事件で近所から執拗なバッシングを受けて一揮発念したことです。

あれから1度だけとわとわさんに遭遇したことがあります。

大学入って5月病で今日はサボるか・・・って思い、起きてから1時間ほど何もせず布団の中でじっとしていました。
すると急に、本当に急に部屋の中に人の気配が現れたんですね。

確信がありました。そーっと覗いてみると見慣れた足。
とわとわさんでした。

あの事件によってとわとわさんを怨むなんて感情はそのときは一切なく久々に会った感じで心の中はどちらかといえば+の感情が多かったです。

サボろうかなんて感情は一切なくなり、とわとわさんに向かって「今からいくわ」って気づいたら言っていました。
するととわとわさんは「ああ」といって気づいたらいなくなっていました。
これがとわとわさんの最初で最後の発声でした。

この後バイトや講義をサボることは何回かありましたがとわとわさんは現れていません

んで最近例のとわとわさんがいる地域の友達と会う機会がありました。
同級生で俺が高校を中退しようが、狂おうが縁をつなぎ続けてくれた唯一無二の親友です。

その友達が言うには最近とわとわさんがドラマに映ったと大騒ぎになったらしいです。
勿論とわとわさんはその地域に匿われているはずなので東京でロケしたドラマに移るはずがありません。

まあみなさんお気づきかもしれませんがおそらく僕がとわとわさんを野に放った張本人なんですけどね。

友達には口が裂けても言えませんが、とわとわさんも元のところに返りたくて困っているのでしょう。
しかも都会は怠け者が多いからついついちょっかいをかけたくなるのかも。

もし僕みたいにとわとわさんと会ったことで狂ってしまったら。

最近ニートの息子が親を殺すなんてニュースをよく耳にしますが、あれもとわとわさんが絡んでないとは・・・
僕にはとても言い切れません。
僕も一歩間違ったら危ないところでしたから。

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