供養塚

供養塚 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

その地方の猟師の家系は、子どもの頃から捕った獲物の数を数えて、それが千匹になるごとに、簡単な塚を建てて供養しているそうです。

昨今は猟師自体が減っているので、そうそう塚が増えることもないのですが、今でも猟師を職業としている方はもちろんいますので、大々的な地域の供養(お祭り)の他に、猟師会や個人の供養式が行われることもあるそうです。

しかし、こんなご時世ということもあり、昔じゃ考えられないことだったそうですが、オカルトはまったく信じない!というタイプの猟師が塚を一切建てなかったそうで、それでも普通なら、家族の誰かが代わりに供養するものなのですが、一家揃ってそういうタイプの人間ばかりだったようで、一切供養を行わなかったそうです。

(その家の祖父母はきちんと塚を建てていたそうですが、早くに亡くなってしまいました)

その猟師さんは主に狐の毛皮を捕っていたということで、地域の人たちは、

「動物霊の中でも特に強い狸や狐を甘く見てはいけない」
「絶対祟りがある」

と、口をそろえて言っていたそうです。

その猟師さんが3年前に、肺炎をこじらせて亡くなったそうなのですが、晩年関節リウマチがひどく、手足は酷く変形し、猟にも出れずほぼ寝たきりだったので手足はやせ細り、最後までリウマチの痛みに苦しんでいたそうです。

そして、棺桶に入ったその猟師を見た猟師仲間がぽつりと発した一言で、葬式の場にいた人たちはみな凍り付いたと言います。

「死に様が、まるで撃たれた狐みたいじゃないか・・・」

関節リウマチで変形した手は、狐の手のように先細り、膝や手首も、狐が手を下げているように不自然に曲がり、猟師仲間の言ったように、その遺体は狐の死体そのもののように見えたそうです。

遺族はその一言に恐怖を覚えたのか、その後立派な供養塚を建てて、供養式もきちんと行ったそうです。

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