婆さん

婆さん 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

昔、彼氏と沖縄の民宿に泊まったときの話。

泊まるとこをいきあたりばったりで探していて、ボロボロの民宿だったんだけど、『素泊まり二千円』の看板に惹かれ、その民宿のチャイムを鳴らした。
出て来たのは八十歳ぐらいの婆さん。
一人暮しらしく、必要以上に私達に話し掛けてくれて、夜御飯まで御馳走になった。

婆さん交えしばらく三人で談笑したのち、お風呂に入り、そろそろ寝ようと寝室に行くと、なんと布団が三つ並べてあった。
まさか?と思い、彼氏とヒソヒソ密談していると、案の定、婆さんが来て、何と真ん中の布団に潜り込み、

『疲れてるでしょ?さ、休みなさい。』

と恵比寿顔。
もう何も言い返せず、婆さん中心に川の字で寝ることに。

しかし、事件はその夜中に起きた。

私は2時過ぎ頃にトイレに行きたくなり目が覚めた。
ふと横目で婆さんを見ると、上体を起こし、何やらゴソゴソとしていた。
婆さんに気付かれぬよう、そぉーっと覗き込むと、何と、婆さんは彼氏の二の腕に唇をとがらせ、チューチューと吸い付いていた。

思わず、『ちょっと!』と婆さんの両肩を掴み、引き離した。

すると

『ケチケチすんなや!』

と婆は吠えた。
彼氏はイビキをかいて爆睡していた。

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