でも眠気のせいか体が動かず、すぐそばにある電話に出られない。
そのうち留守電に切り替わり、録音しながら友人A子の声が聞えてきた。
「お父さんが交通事故を起こして即死したって連絡があったの。
でも実家は遠いし、こんな夜中に行けない。
海釣りに行く途中だったらしくて、一緒にいた仲間も二人死んだって。
ねえ、B子!わたしどうしたらいい?とても眠れないよ」
ああ、大変だ、A子が大変だ、受話器を取らなきゃ・・と思うんだけど、私はそのまま寝てしまったらしい。
朝になってからあわてて留守電を再生してみた。
・・けど再生しようにも一件のメッセージも入っていない。
でもゆうべ確かに・・あんなにハッキリ聞いたのに?と不思議に思ってすぐにA子に電話して確認してみた。
おはよー!と元気に電話に出てきた彼女に、私は深夜に電話したかどうか聞いてみた。
「え?してないけど、なに?」
「お父さんがどうしたとかって電話、してない?」
A子は電話なんかしてない、と明るい声で言う。
あぁ良かった夢だったんだと安心して私は受話器を下ろした。
それから二日後の深夜、電話が鳴った。
今度はちゃんと受話器をとった。
A子からだった。
「お父さんが交通事故を起こして・・・」
二日前のセリフと同じことを言った。
海釣りの仲間と一緒に出かけたお父さんが即死した。
その仲間も亡くなってしまった、と。
あれからもう何年も経つんだけど、A子にはまだその話をしていません。
自分でも何がなんだかわからないので、うまく説明する自信がないのです。
あれは予知夢だったのでしょうか。
妙な電話を聞いた翌日にA子に話していたら、事故は防げたんでしょうか。