半年ほど前、仕事中に母が倒れた。
意識はすぐ戻ったようで、とりあえず救急病院に電話し、父がすぐ連れていった。
私も連絡をもらって、かけつけた時には検査中だった。
父が家の戸締りを忘れたという事だったので、一度実家に戻った。
実家では猫を何匹か飼っていて、そのうちの私がまだ大学生だった頃に拾った1匹が、一週間くらい前から具合が悪いようだったけど、2~3日前からまた元気が出てきたという話を聞いていた。
家に戻った時にはその子はすごく元気で、頭をなで餌をやり、また病院に出かけようとしたら病院から電話がきて、母は急性心筋梗塞で、その病院では手がつけられないから、もっと大きい病院に救急車で搬送するという。
急いでそちらの病院に向かい、ついたら母は手術中だった。
手術前に父は医師から、危ない状況だということ、梗塞が起こった箇所が最悪の場所なので、もしかしたら…
という話を聞かされたそうだ。
4時間ほどの手術が終わり、そのまま母はICUへ。
入院に必要な物などを取りに、もう一度実家に行った。
そうしたら、リビングの母がいつも座っている場所で、さっき頭をなでた子が冷たくなっていた。
そしてその瞬間、私の頭の中で『ママは大丈夫だよ』という声が聞こえた。
幸い、母は一命を取り留め、今は元気にしています。
あの子が身代わりになってくれたんだと思う。
最後に会った時、とても急いでいたので、好物のネコ缶を開けてあげる時間がなかったのが、今でも心残りです。
じーじ、もう半年経っちゃったね。今でも思い出すと涙が出るよ。
いつか会える時まで、私を覚えててね。
って、ここまで書いちゃったけど、ちっとも恐い話じゃなかった。