盛り塩

盛り塩 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

私の現在住んでいるアパートは、築2年ほどの新しいアパートです。
1年ほど前に実家を出て、結婚を約束している彼と、ここで同棲しています。
この部屋に私たちが入居する前に、先入者の出入りがあったのかどうかも私は知りませんが、とある友人が遊びにくるまでは、私達は何事もなくここでごく普通に暮らしていました。

2ヶ月ほど前のある日に友人が遊びに来たときのことです。
この部屋に入るや否や突然に

「Y子・・この部屋、ヤバイよぉ・・」

と、言い出しました。

「えっ?何?どーゆうコト?」
「・・・んっと、うまく言えないけどぉ・・・とにかく、鳥肌立っちゃったんだよね。
悪いこと言わないからさぁ、出た方がいいよ。」
「何、言ってんのよぉ?やめてよ~~。
そんな引っ越すなんて、お金無いし今まで、何も変なことなんて起きてないもん。」

と、私は答えました。
この友人は、以前から霊感が強いと有名で、風水などにも詳しいのです。
彼女の助言のおかげで、事故に遭わずに済んだというような友人も多く、その彼女に部屋を出た方がいいと言われた私は、正直ショックでした。
しかし、私達にいま引越しなどをする余裕は無く、困り果てた私に対して、

「とりあえず、盛り塩をしていくから・・・」

と言って、玄関に2ヶ所、盛り塩をして帰って行きました。

「なんか・・・大袈裟だよねぇ?何も無いのに・・・。」

と、その夜、私と彼は笑い飛ばして眠りにつきました。

次の日の朝、私は寝坊してしまいました。
いつも、目覚まし時計よりも早く起きる私なのですが、その日はすっかり寝込んでしまっていたようで、会社にも遅刻してしまいました。

「早く寝たのに・・・?何で、目が覚めなかったんだろう?」

その日は、そう深く考えずにいたのですが・・・
あくる日も・・・そのあくる日も・・・
前夜に早寝しているにもかかわらず、まったく朝に目が覚めないほどにぐっすり寝込んでしまうのです。

「なんかさぁー、盛り塩やってから、ぐっすり眠れるようになってない?」

私が思っていても、口に出したくなかった「そのこと」を盛り塩をやってから1週間目の夜に彼が言い出しました。

「だよね・・・」
「とりあえずさー、仕事行くのにもヤバイし・・・盛り塩するの、やめようよ」
「うん・・・そうだね・・・」

そして、私達は盛り塩をするのをやめたのです。

その夜・・・
私はその部屋で、初めて金縛りに遭ったのです。
横で寝ている彼に助けを求めようにも、まったく身動きができないのです。
その姿の見えない何かは、私の足元にも上っているようでした。
と言うか、恐ろしくて、目を開けることが出来なかったのですが・・・

金縛りがどのくらいの時間だったのか・・・まったく覚えていませんが、気がつくと朝になっていました。

「きのう、なんか金縛りに遭ったよぉ・・・」

と、彼に言うと

「マジで?俺も、すげーワケのわかんない夢みたよ。やっぱり・・・」

と、この部屋に何か問題があるのだろうと、私たちは確信したのです。

しかし・・・

私達は、引越し費用が貯まらないため、まだこの部屋に住んでいます。
もちろん、お金が貯まったら、すぐに出て行きたいと思ってはいるのですが、残念ながらまだまだ出て行くのは、先になりそうなのです。
最近は、頻繁に起こる夜中の地震で目が覚めます。
その度にテレビをつけるのですが・・・
悲しいことに「地震速報」のテロップが流れることは、まったくありません。
あれだけ激しく、長い間揺れているというのに・・・

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