怖くはないと思うんだケドー・・・取り敢えず記念真紀子。
中学生の時ね、校舎で自殺した女の子の幽霊が出るの何のって噂が学校中に流れた。
嘘に決まってるんだけどね。
当時の町の雰囲気は「自殺って漫画とか小説の中だけのやつだろ?」ってくらい皆平和ボケしてて・・
というかそういう深刻な危機がなくて、だからあたしも「どっかのヴァカがまた変な作り話流しやがって」としか思ってなかった。
でも学校の皆は作り話だと笑いつつ、それでも田舎の辺境の何も無い毎日に飽きてたから、ちょっとした刺激って感じに楽しんでた。
「西棟の二階の女子トイレに出るらしいよ」
「私体育館裏で見たよ」
「幽霊の正体は昭和~年に卒業した~って子らしい」
尾ひれがつきまくって幽霊の具体的な像が出来上がったのは、噂が流れてまだ間もない頃。
あたしも面白がって作った話を流してた。
「カルピスの原液をかけると憑かれない」とか適当なこと。
それだけで済む筈だった。
・・・だけど、予想に反して「被害者」が出てきて。
いないもんに襲われるわけないだろーって皆笑ってたよ。
襲われたのは同じクラスの女の子。
「西棟の二階のトイレ」で、いきなり髪を引っ張られたんだと。
パニクったように状況を説明して、その子は泣き出した。
あたしは笑いながら「あんた髪長いから、どっかにひっかけたんじゃないの?」って言った。
周りもそういう反応すると思った。
でも皆ひきつった顔して「そうかぁ・・・」とかぶつぶつ言いながら散って。
それからぽつぽつ「被害者」がでるようになった。
「ばっかじゃねーのww」とかって言ってたような男の子まで被害にあったらしい。
何をされるのかは人それぞれで、ズボン下ろされたりスカートめくられたりってものからシメられただの叩かれただの。
友達が被害にあっていく中であたしだけ何もなくてー。
それから数ヶ月経った頃、小学生の時仲が良かった女の子があたしのところに来た。
中学でクラスは別々になっててね。
で、その子はまず自分が被害にあったことをざっと話した。
「お前もかよ」て思いながら話聞いてたら、彼女は被害の話の後で自分がその話を作ったってことを半泣きで話し出した。
「うちにあった本に、そういう話があって、だから、面白いかなって流したんだけど」
いつも以上にとつとつした喋り方で、まぁそんなことよりお前が作ったのか!って驚いた。
それからやっぱ作り話だったかwwって思った。
で、おかしいのは作り話のソレが現実にいるってことになりつつある現状。
中三だったから、よぉく調べることもできないうちに卒業してそのままになってるんだけど、あれって集団心理?だよね。
人間の想像力って逞しいなあって思う。
ぜんぜん怖くなくてゴメンね。
でも人間のこういう心理って面白いよね。