猫神様

猫神様 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

うちには2匹の猫がいる。
2匹とも雑種だ。
そのうちの1匹に、2度程助けられた事がある。
それからは名前を「猫神様」と呼ぶようになった。
これは猫神様に助けられた時の話だ。

ある日曜日、遅い朝食をコンビニへ買いに行った帰り、犬に襲われそうになった。
野良犬ではない。
首輪をしていたからだ。
犬種はドーベルマン。
目が血走り、ヨダレを垂らして牙を剥く。
唸り声をあげ今にも飛び掛かってきそうに身を低くして近づいてきた。
戦闘態勢だ。
頭の中で、来た瞬間蹴りを入れてその後こうしてああしてと考えた。

飛び掛かる時の反動付けのよう一瞬その犬がさらに身を低くした時、何かが空から降ってきて、その犬の顔を覆った。
即座に犬のキャインキャインという声が響いた。
よく見ると猫神様だった。
犬の顔に噛みつきながら顔を引っ掻いてる。
身体が離れた時犬を見たら目は潰れたようで、あちこちに身体をぶつけて逃げていった。
ちょっとしてキャイ~ンと聞こえた。
車に跳ねられたようだ。

猫神様は、手(前足)を舐めている。
その日は家にいて脱走できる状態ではなかったはずだった。
空から降ってきたのではなく、多分近くのカーポートの屋根からジャンプしたのではと考えた。
その日は帰ってから、嫌がる猫神様を風呂に入れ、乾いたあとにいつものドライフードではなく、猫缶をあげた。

その日は仕事で遠くに行く事になっていた。
俺はいつも助手席だ。
支度をしてると猫神様が足元にまとわりつく。
無視した。
食器棚の上に乗りこちらを見ていた。
カバンに手をかけた瞬間、上からジャンプして俺の頭に乗った。
下に下すと、今度は尻尾が倍に膨らみ全身の毛を逆立たせ睨みつけてくる。
無視して玄関に手をかけた瞬間、おもいっきり引っ掻かれた。
血が出た。

同僚に電話を入れ、電車で行くのを伝え詫びた。
近くの病院が開くのを待ち、手当してから電車に乗った。
間に合いそうだ。
しばらくすると、携帯に連絡が入った。
同僚が高速で事故したと。
本人は無事だが、契約には間に合わないから頼むと。

契約を終え会社に戻ったのは夜だ。
上司が言った。
それは、おつかれさんではなく、車に乗らなくて良かったと。
助手席は潰れてグチャグチャだと。

帰りに、いつもより高い猫缶を買った。
よく解らないが、多分助けられたと感じたから。

猫神様ありがとう。

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