ある日、夜遅く帰ると
「あれ 今帰ってきたの?」
と母が言った。
そうだと答えると
「ふうん。」
と首をひねってから私に背を向けた。
何か合点がいかないようだった。
多少気になったものの飯を食べ終える頃にはそんな事忘れてしまった。
何日か後。
夜遅く帰ると
「あれ 今帰ってきたの?」
と 母が言った。
そうだと答えると
「ふうん。」
と 首をひねってから私に背を向けた。
何か合点がいかないようだった。
多少気になったものの飯を食べ終える頃にはそんな事忘れてしまった。
そして数ヶ月後。
夜、居間でくつろいでいた私は頭上から聞こえる微かな音に気付き天井に目を向けた。
台所にいた母が炊事の手を止めた。
「音と気配」が二階の部屋をゆっくりと歩き回っていた。
きちんと人間の体重が乗った音。
「…これかい?」
と私は尋ね
「…そう、これ。」
と母は答えた。