工房の頃の話。
クラブの帰り道、七人ぐらいで王将の座敷席でメシを食らいつつ馬鹿話をしていた。
ラーメンをずるずる啜ってるとと斜め向かいに座ってた子(仮にA)が、じっと自分を見てるんで、「どうしたん」と聞くと、「○井?」と、私の名前を呼んでくる。
意味が判らずに、もう一度「だから何なん」って聞き返すと、「○井よな?」と、なんかおそるおそる訊いてくる。
「大丈夫かあんた。何言うてん。って言うか、何なん?」
「あんた今様子がおかしかったで」
自分では普通にしてたつもりだったから、どういうふうにおかしかったのか尋ねると、喋りかたや顔つきが別人みたいだったらしい。
そのA曰く、
「きまが、死にそうなの。‥‥ゆるさない」
と、関東のイントネーションで喋り、その時すごい怖い目つきでAを見たらしい。
自分では、黙々とラーメン食べてたつもりだったから、右隣に座ってた子に、
「うち何も言ってないよな」
と訊くと、
「うん」
でも、左隣に座ってた先輩が、
「うちもAと同じこと聞いたよ」
と言う。
ただ、その先輩は普段から私が悪戯好きなのを知ってたから、(また○井がアフォなことしてる)ぐらいに思ってたらしい。
もう一人、向かいの一番左端に座ってた子も、
「確かに言ってた、標準語にびっくりして(皆大阪人)、私の顔見ると、目のふちが全部真っ赤でかなり怖かった」
って。
でも、自分では全然そんなこと言った覚えないし、他の三人は全く聞いてないと言う。
解らないけど皆何となく不気味になってきて、その後はさっさとゴハン食べて、店を出た。