自販機の顔

自販機の顔 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

未だに外に出られない

一昨日の夜に煙草を切らしちゃってさ、煙草を吸う人は解ると思うけど、手元に煙草ないと落ち着かないよね?
でさ、歩いて5分の所にある自販機まで買いに出かけたんだよ。
家を出る前に時計をみたら10時53分。
外にある煙草の自販機って夜の11時に販売規制かかって買えなくなっちゃうんだよね。
かなり焦って自販機まで走ったわけ。
ギリギリ間に合って小銭入れから硬貨を出してさ、投入口に300円入れてボタン押したのよ。
で、屈んで取り出し口に手を入れようとしたら何かおかしいんだよね。
煙草が落ちてくる「トスッ」って音がしないんだよ。
聞き逃したかなと思って取り出し口に手を突っ込んだら、ちゃんと煙草があった。
でさ、吸いたくてたまらなかった俺はすぐに携帯灰皿とライターをポケットから出して、煙草に火をつけたわけ。

その瞬間「カチッ・・ブーン」って音がして自販機は販売規制モードに突入。
頭の中で「セーフ!」って安堵しながら煙草の煙を吐き出した。
そして何気無く取り出し口に目をやったら・・

「そいつ」はいた。

僅か10センチの取り出し口の隙間から顔を横にして俺の顔をジッと見上げている。
透明な取り出し口カバーの向こう側から無表情で。

地面から僅か20センチの高さのところにある取り出し口に顔があるなんてありえない。
物理的に不可能だ。

ヤバイと思ったけど、その時の俺はどうかしてた。
自販機を思いっ切り蹴り飛ばしちゃったんだよ。
その瞬間顔は奥に引っ込んだ。
俺は慌てて逃げたね。
今がチャンスとばかりに。

でさ、10メートル逃げた所で振り向いて確認したらさ、取り出し口から「そいつ」が慌てて出ようとしてるんだよ!
しかも俺の方を見て大口開けて笑ってる!

無我夢中で逃げた。
家に駆け込んで布団にクルマって震えているうちに、いつの間にか寝てしまった。

「夢か・・」

と思い、一服しようと胸ポケットから煙草を探すけど見当たらない。

「やっぱり夢だったのか。煙草を買いに行こうと思っているうちに寝てしまったんだな」

と時計をみると朝の5時。
新聞受に何かが落ちる音がしたので新聞を取りにいったらさ・・

新聞受に俺が昨日買って一本吸った状態の煙草とお釣りの30円が入った携帯灰皿が っ今ドアを誰かがあけようとしてるんだ

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