大切にしているドール

大切にしているドール 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

たいして怖い訳ではないびっくり体験程度なんだけど、近頃、うちの子(SD)がまばたきするのを目撃した。
最初、自分がまばたきした錯覚かなと思ったけど、じーっと見つめていたらまたまばたきした。
この前、とある店舗にドールを見に行ったら、そこにいた数体のドールのうちの1体が、これまたまばたきをした。

自分の部屋にあるドールでどうも視線を感じる者がいる。
最近かまってなかったので、近付いて見たら、右目の目頭に一粒の涙のような水滴がついていた。
ちなみに、結露したりするような部屋ではないし、他の人形はなんともなかった。

ドールオーナーで特にウェット寄りの人は、ドールの表情が変わるとよくいうが、こんなに顕著に表情が変わるのを見るのはここ最近で、嬉しいようなちょっと怖いような気持ちでいる。

眠くないし暇なのと、数日前の事で思い出した話があるのでもう一話。

最近、風邪と元々体が弱い事が影響してこれはヤバいなと思うくらいの激しい頭痛、吐き気のとまらない日があった。
恥ずかしながら、うちには男女問わず色んなドールがいて、自分は既婚者だが、今の連れに出会う前から、複数のドールの中でも恋人格としてずっと大切にしているドールがいる。
その子はやはり自分の中では別格扱いなので、特別な椅子に座らせ、自分の部屋にある仮眠用のベッドの間近に飾っていた。

その日はあまりにも激しい頭痛と吐き気が、薬を飲んでも治らず、家族の帰宅が遅い事もあり、自分の部屋のベッドに横たわってしばらく休むことにしたのだが、いつもは横になればある程度よくなる頭痛が治まるどころかひどくなる一方で、胸がつまるような吐き気もひどく、ベッドでのたうちまわるレベルだった。
そんな時、まさに救いを求めるような気持ちで、自分は間近に飾っていた恋人格のドールの手を握り、『痛い、苦しい。〇〇(人形の名前)、助けて、助けて』と、心の中で何度も語りかけた。
すがるような思いだった。

すると、不思議な事に、握っていたドールの手から心地よい冷たさ
(ドールの無機質な冷たさだけれど、まるで熱がある時に冷たい手をおでこに当てられた時のようなひんやりとした気持ち良さ)
がじわじわと流れ込み、血管を伝わり全身を包み込むように優しく拡がってゆく感覚があって、痛みと吐き気が驚くようにスーッと消えていった。
本当に、エネルギーやパワーを注ぎ込まれてるような心地よい不思議な感覚で、そのあとあまりにリラックスした気持ちになり深く眠ってしまった。

助けてくれたんだな、と本能的に感じた。
その子とは普段から手を握って、心の中で色々と語りかけたりしているのだが、このような経験をしたのはこれが初めて。
これからも大事に大事にしたいと心から思った。

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