待ち合わせ場所は友人の下宿から歩いてすぐのファミレス。
いい御身分である。
私の家からはバイクで20分掛かるのに…。
目的地の史跡には電車で行くので朝5:30に出発。
バイクかっ飛ばして向かう。
エリミネーター400。
車には極力乗りません、
何か後ろに『いらないモノ』を乗せそうなので..
店に着くと窓際に友人が座っているので窓に水平に停車する。
長い髪に無精髭。
ちゃんとした服着てなければホームレスにしか見えない。
自称『視えるが祓えない』友人である。
私に気づくと友人は薄笑いで手招きを始める。
店に入って席に近づくと何が面白いのやら半分噴出しながら笑顔で言う。
『お前、相変わらずお約束やね』
「いきなり何や」
『ん』
指差す先を見るとバイクの荷台。
『うらやましいなお前、子供にも好かれやすいんやな』
「は?」
『後ろの荷台にちょこんと座ってる』
「またまた、俺が『視えん』からって騙すなよ」
『んー タイヤ見てみ。あんな物自分で付けたか?』
視線を後ろに移す。
私は思わず
「うげっ」
と洩らした。
後輪の空気入れの金具にキーホルダーがぶら下がっていたのだ。
遠目にウサギか猫だか人形が付いてるのが分かる。
勿論自分で付けるハズは無いし誰かに付けられた覚えも無い。
まさに家を出る直前、U字ロック外すためにその部分に触れていたし家を出てから寄り道せず20分間走りっぱなしだった。
誰かが触れるヒマもない。
「何で?アレが勝手にくっ付いたってんか?」
『かもな』
「んなアホみたいな事...」
『えっと、お前ココ来るとき明○書店の前通るよな?
こないだ女の子轢かれたって知ってるか?』
「..んぁ、交差点に花束あったわな」
『手ェ合わせたりしたか?』
「運転中にするかよ!」
『..じゃあ現場通る時に少しでも「かわいそう」だとか思ったか?』
「ぅえ!?」
OK、その通り。
ファミレスの手前の本屋。
信号待ちで視界の左に花束。
私は確かに
「かわいそうやな」
と呟いてた。
『あーあーやっぱなぁ』
独りごちる友人
「何や、そんなモン誰だって..」
『まぁ、一般人はね お前は別。
優しそうやからくっ付いて来るんやろなぁ』
『面白そうやから話さんで置こうと思ったケドも、一応感謝せぇよ。
ワンピース着た可愛い女の子だ』
「酷ぇ(・д・; 」
「付いて来んじゃないんか?
ヤバいんじゃないのか?今日は中止だよな?な?(必死)」
『いや、何か珍しい事にお前じゃなくてバイクの方に憑いたっぽいぞ。』
『どうせバイク置いて電車で行くんだからええやろ』
「良くねぇよ。帰りも乗るんだぞ俺は」
『あー 大丈夫。放って置いたらそのウチ消えてくれるって...多分』
「多分ってお前..」
『もう直ぐ電車来るから行くか。あの子に手でも振っておけ。』
結局史跡廻り行った後、半泣きで帰宅しました。
その後荷台の上に塩盛って半泣きで般若心経と九字切り。
2日後友人に来て視てもらった時には居なくなってたみたいです。
友人には
『死人には極力同情しない方がいいぞ』
と釘を刺されました。