夢に出た故人

夢に出た故人 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

これは私が人づてに聞いたのですが、実際に起きた出来事だと知ってしばらく怖い思いをした話です。

私の友人の親戚が、闘病の末亡くなりました。
長年とはいかないまでも、苦しんでいる期間が結構長く看病で家族も同時に大変だったため、亡くなった時は寂しさ悲しさと同時にホッとしてしまった面もあったらしいです。
遺族の人が大笑いでそんな発言をしていたらどうかと思いますが、しんみりした感じで言っていたと友人から聞きました。

看病をするという大変さは実際に経験した本人でなければ分からないでしょうし、そういう気持ちになる事は実際にありえることなのかもしれません。

そして葬儀の当日。
親戚の1人に、顔色がかなり悪い方がいたそうです。

前日まで普通に元気だったので何事かと訊ねたら、なんと夢へ故人が出てきたというのです。
ここまでならまぁありがちな話だろうと思ったら、その故人が

「俺が死んでほっとしたとは何事だ!半年以内に誰か連れて行ってやる!」

と怒鳴ったらしいのです。
周りの人は葬儀ということで忙しく、まともに聞いてくれなかったそうですが、聞いていた人は友人含めゾッとしたと言っていました。

たかが夢と思うかもしれませんが、気にしてしまうには理由がありました。
故人は機嫌が悪くなることは滅多になかったのですが、1度機嫌が悪くなるととんでもない言動をする人だったそうです。
あの人ならひょっとしたらありえるかも…と思わせる雰囲気が、親戚の中に漂いました。

それから数ヵ月後、本当に人が亡くなりました。
病気だったというわけでもなく、突然亡くなってしまったのです。
とは言っても、急に亡くなってもおかしくないような年配の方ではありました。
しかしあの夢の話があったので、親戚中が震え上がったのも無理はありません。

そして、これはまた誰かの夢に出てくるのでは…という話になりました。

ほどなくして、夢に故人が出たとの報告が出ました。
ですが今回は不吉なものではなく、「まだ死んだ気がしないからしばらくこっちにいようかな」という、のほほんとした感じだったという話でした。
これには親戚皆がホッとし、確かにあの人ならそう言いそうだ、という雰囲気になったそうです。

ところがその日以降、別の異変が起き始めました。
故人の住んでいた家で、誰も階段を昇り降りしていないのに足音が聞こえたり、妙な物音が聞こえたり、誰かが話しているような声が聞こえたり…。
いわゆるポルターガイスト現象が始まったというのです。

顔見知りの人物がやっていると分かっているにしても、やはりこの世には居ない人がそういった現象を起こしているというのは、怖がるなという方が難しいかもしれません。
そのうちしびれを切らした親戚の1人が、異変が起きている最中に「もういい加減にして!」と怒鳴ったらしいのです。
すると急に寒気がして、それ以降はポルターガイストの頻度も大分減ったのですが、相変わらず故人の家では物音が続いているらしく、もう放っておいているということです。

と、ここで話が終わるのかと思ったら、友人は続けます。
3歳くらいの親戚がある日、その家へ行ったら

「あそこに知らないおばさんがいる。」

と言って、家の角を指差したというのです。
もちろんそこには、見える人物は誰もいません。

それを聞いて友人の親戚はゾッとしたと言います。
なぜなら怪奇現象を起こしていたはずの故人は、男性なのです。
その女性の幽霊は、一体何者なのでしょうか…。

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