足音

足音 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

俺が昔住んでた部屋での話。

初めは特に何事もなく普通に暮らしてた。
今にして思えば時々夜に変な物音がしていたが、小さな音だったし、俺も特に気にしていなかった。

俺がその部屋を借りてから1ヶ月くらいたったある夜、深夜2時頃に俺はトイレに行きたくて目が覚めた。
とりあえずトイレに行き、用を済ましたんだが、深夜ということもあり、眠たくて便座に座ったままぼーっとしていた。
その状態で1、2分後、トイレの外から変な音が聞こえだした。

足音だ。

しかし当然ながらこの部屋には俺しか住んでいない。
俺は黙ってその音を聞いていた。
足音は部屋をぐるぐると回っているようだった。
不意に足音が止まった。
ようやくおさまったかと思ったら、再び足音が。
足音はトイレに近づいてくる。
俺はトイレの中で震え始めた。震えが止まらない。

しばらくして足音はトイレの前で止まった。
もうトイレから出られない。
そのまま5分くらいたったと思う。
俺はもうずっと震えっぱなし。
足音が去っていく。
部屋の方へと向かい、今度は完全に足音が消えた。
正直まだ出たくはなかったが、ずっとトイレにいるわけにもいかないし、トイレから出て、部屋へと向かった。

何もいない。
とりあえず安心したが、ふと周りを見渡すと、押入れがわずかに開いている。
俺が閉め忘れただけかもしれないが、気味が悪い。
とりあえず押入れを閉めて、寝ようかとも思ったが、このまま眠るのも恐い。
そんなわけでビールを出して飲み始めたんだが、数分後、また妙な音が聞こえる。
何かを引っ掻くような音。
そしてそれは押入れの中から聞こえてくる。
何者かが押入れの中にいる。
そう思った瞬間、俺は部屋から逃げ出していた。
近くのコンビニに行き立ち読みをしたが、恐怖でまったく本の内容が頭に入らない。
そのままコンビニに30分くらい居たが、さすがに店員も迷惑そうにしている。
近所に友人もいないし、部屋に戻るしかない。

恐る恐る部屋に入り、異変がないかどうか確認する。
押入れは閉まっていた。
そのまま飲みかけだったビールを飲み朝まですごした。
その日はもう特に何も起きなかった。

翌日、昼間の明るい時に押入れを開けたが、中には何もなかった。
俺はかなり恐れながらもその部屋に住み続けた。
霊が出るマンションは異常なほどに価格が安いというが、そこはわりと新しいマンションで、価格も普通だったので、住み続けなければ金が勿体無いと思ったのだが、その日から時々夜にラップ現象が起こるようになった。
そのうちに俺はこれはあの夜の足音の主の警告じゃないかと考えるようになった。
このままではいつかまたあの足音の主が現れるかもしれない。
そう思い、俺は仕方なく引っ越した。
その後、引越し先では特に何も起こっていない。

ちなみに業者に聞いてもこの部屋で過去に特に何かがあったということは無いらしい。

★この話の怖さはどうでした?
  • 全然怖くない
  • まぁまぁ怖い
  • 怖い
  • 超絶怖い!
  • 怖くないが面白い