腕時計

腕時計 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

僕が小学校高学年のころの話。

僕と友達のKは、よく下校途中にある空地で遊んでいた。
その日も、Kと一緒に空き地に行ったんだ。

ドラえもんに出てくる空き地みたいで、奥には土管が2本ほど置いてある。
いつものように、土管の中で拾ってきたエロ本でも見ようと入っていくと、何かが落ちているのに気がついた。

腕時計だった。
子供用で、まだまだ新しく、その頃やってた「ナイトライダー」の腕時計みたいだった。
僕は一目で欲しくなってしまったが、失くした子も困っているだろうから交番に届けようと言った。

しかし、Kは「第一発見者のものだ」と言い張って、早速腕にはめて、届ける気は無さそうだった。
僕もまあ、そんなに正義感が強いわけでもないので、その腕時計のことは忘れて、その日は日暮れまでKと遊んで、家に帰ったんだ。

次の日、Kは包帯を巻いて登校してきた。
休み時間に理由を聞いてみると、昨日、家に帰ってからも腕時計をつけていたが、しばらくするとジワジワと痛みだしたらしい。
包帯を外して手首を見せてもらうと、ちょうど腕時計の形にひどく爛れていた。
ジュクジュクに膿んで、皮が剥がれている。
下から血管らしき物が見えているのが気持ち悪かった。

Kは早退して病院へいくとのことで、下校のついでに僕が交番へ腕時計を届けに行った。
交番へ行くと、お巡りさんと、もう一人男の人がいたんだ。
妙に気味の悪い中年で、背は低く、髪は長くてボサボサ。
牛乳瓶の底のようなメガネの奥から、濁った魚のような目が僕をぎょろりと見た。

僕は寒気を感じて、早く用事を済まそうと、お巡りさんに腕時計が落ちていたと話した。
Kのことは流石に言わなかったけど。

すると、お巡りさんは手をぽんっと叩くと、ちょうど良かった!と頷いた。
どうやら、気味悪い男が、腕時計の持ち主らしい。
落とし物の届出に来たようだ。
男は腕時計を僕が渡そうとする時にじろじろと僕の腕を見て、

「なんだ、はめてみなかったんだね」

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