スカボロー・フェア

スカボロー・フェア 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

スキーにいったときの話。

ゴンドラで頂上まで行くと凄いガスってて、ほとんど視界が無い状態だった。
しょうがないから、ゆっくり滑って降りようとした。

ゴンドラの降り場では、たくさんのスキーヤーやボーダーがいたはずなのに、滑り出してすぐに周りから人の気配が全く消えて、自分と友達だけしかいないような感じになった。

そのときはガスってたからだろうと思った。

で、突然どこからともなくスカボローフェアの歌声(女性)が聞こえてきたんだ。
凄い綺麗な歌声だった。
俺の友達は英語が得意だったけど、この歌のことを知らなくて、思わず英語でこたえてしまったんだ。

「皮の鎌で刈り取りなんてできるわけねぇだろ!」

そしたら、ゴゴゴゴと上の方から凄い音が聞こえてきたんだ。

俺は

『これはヤバイ』

と本能的に感じて、

「パセリ、セージ、ローズマリー、アンドタイム」

と、お祈りするように唱えたんだ。
しかし、上の方から雪崩が来て、俺と友達は飲み込まれた。

かなり下の方まで流されたけど、俺は何とか雪の上に這い出すことができたんだ。
しかし、友達は見あたらない。
これはいかんと思い、救助を求めに下のゴンドラ乗り場まで猛スピードでおりたんだ。
あまりに焦っていたので、まったく気付かなかったが、下におりてみると、何時の間にかガスは綺麗に晴れて、ゴンドラの山頂駅も遠くにみえた。

係員の人に、

「友達がさっきの雪崩にまきこまれました。助けてください!」

と言うと、その係員はポカンとした表情で、

「雪崩?そんなの何処で起きたの」

といいます。

かなりの規模だったはずで、下でも雪崩があったことはわかってると思ってた僕は、唖然としました。

しかし、僕があまりにも必死の形相をしてたので、兎に角遭難だろうと救助隊が向かうことになりました。
救助隊はいったんゴンドラで頂上までいって、僕が降りてきたコースをそのまま降りてきたそうですが、雪崩が起きた形跡などなく、他の人スキーヤーにも聞いてみたそうですが、雪崩など見てないそうです。
人も多く綺麗に晴れていたので、実際に小規模でも雪崩が起きていれば、1人もそれを見てないということはあり得ないというのです。

え、僕はびっくりしました。
晴れていたって…。
あんなにガスがかかっていたのに。
それでも、救助隊は日が落ちるまで捜索をしてくれましたが、結局友人どころか所持品一つみつかりませんでした。

次の春、雪が溶けてから、僕と友人の家族は、もういちどスキー場のある警察署に問い合わせをしてみましたが、結局遺体も所持品も見つかることはありませんでした。

それ以来、僕はスキーはもちろん、山にはまったく行けなくなりました。

以下、スカボロー・フェアの話。



スカボロー・フェア(Scarborough Fair)は、英国の伝統的バラッドである。
この歌の舞台は中世末期まで遡り、その頃ヨークシャー地方(現ノース・ヨークシャー州)の北海沿岸の行楽地スカボローは、英国中の商人の重要な交易場だった。
そこには道化師や手品師が集い、8月15日には45日間の巨大な長期間の市が始まる。
これがタイトルになっているScarborough Fair(スカボローの市)である。

市の期間中は、英国中や大陸からさえも人々がスカボローへ商売をしに集まった。
この歌は16~17世紀に、『エルフィンナイト』(チャイルド・バラッドNo.2)という、古いバラッドを作り変えたものであると言われている。
吟遊詩人が町から町へ歌を伝え歩く内にそれは変わっていき、何十もの詩が出来上がった。
しかし、典型的に歌われたものは少なかった。
サイモン&ガーファンクルによって有名になった編曲は、19世紀末に生まれたものである。
この歌は恋人に捨てられた若い男が、冗談げに彼女に縫い目なしで彼のシャツを縫ったり、それを乾いた井戸で洗うような一連の不可能な仕事を成し遂げれば、彼女を取り戻すだろうと、聞き手に言う話をしている。

しばしばデュエットで歌われ、男性が一旦歌い終わった後、女性が恋人へ同様にできない仕事を成し遂げられれば、縫い目の無いシャツを与えることを約束する。

“parsley, sage, rosemary and thyme”の繰り返し句は、現代人にはよく理解できないが、象徴的意味に満ちている。

パセリは今日まで消化の助けになり、苦味を消すと言われており、そして中世の医者は、これを霊的な意味としても捉えた。

セージは何千年もの耐久力の象徴として知られている。

ローズマリーは貞節、愛、思い出を表し、現在でも英国や他のヨーロッパの国々では、花嫁の髪にローズマリーの小枝を挿す慣習がある。

タイムは度胸の象徴であり、歌が書かれた時代、騎士達は戦いに赴く際に楯にタイムの像を付けた。

歌での話し手は、4種のハーブに言及することで、二人の間の苦味を取り除く温和さ、互いの隔たった時間を辛抱強く待つ強さ、孤独の間彼を待つ貞節、出来ない仕事を果たす矛盾した度胸を具えた真の恋人、
そして、彼女がそれらをできた時に、彼の元に戻ってくることを望んでいる。

スカボローの市(いち)に行くのですかパセリ、セージ、ローズマリー、タイムあそこに住んでいる人によろしく伝えてほしいんです私が真剣に愛した人に
あの人にキャンブリック生地でシャツを作ってくれるように伝えてください
(深い緑の森の丘の山腹)
パセリ、セージ、ローズマリー、タイム
(積もった雪の上で雀を追い)
縫い目も針目もないシャツを作ってくれたら
(毛布とベッドクロスに包まれて、山々の子供は)
あの人は私の本当の恋人になるんです
(進撃らっぱの音も知らずに眠る)
あの人に1エーカーの土地を見つけてくれるように伝えてください
(丘の山腹ではらはら葉っぱが)
パセリ、セージ、ローズマリー、タイム
(銀の涙を流しながら墓石を洗う)
海と岸辺の間にある土地を見つけてくれたら
(兵士が一人銃をきれいに磨いている)
あの人は私の本当の恋人になるんです
あの人に皮でできた鎌で刈り入れるように伝えてください
(戦いの音が轟き、緋色の軍服を着た大軍の中で銃砲が火を吹く)
パセリ、セージ、ローズマリー、タイム
(将軍は兵士に「殺せ」と命ずる)
ヒースの束の中に収めるてくれたら
(「戦え」と命ずる。もう,とうに忘れてしまった大義のために)
あの人は私の本当の恋人になるんです

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