大口を開けて笑っていた

大口を開けて笑っていた 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

私の職場の後輩は、婚約者を家に泊め、両親に紹介しました。
その夜、彼女は後輩の家に泊まったのですが、早朝にあの大地震が起きました。
須磨の彼女の家は幸い無事だったのですが、ようやく連絡が取れた彼女のご両親はまだ、余震も激しく危険だから、しばらく帰るなと娘さんに告げました。

3月になり帰省を望む彼女を後輩は車で送りました。
後輩の家は大阪の岬公園でしたが、須磨まで往復で1日仕事となっていました。
彼女を送り届けた後、後輩は自宅に帰るにあたり事故だけは起こすまいと慎重に運転し、夜遅く帰宅しました。

しばらくして、警察から後輩に呼び出しがかかりました。
速度違反で阪神高速のオービスに後輩が写っているというのです。
そんなことありえないと後輩は警察に乗り込みました。
彼は神戸の惨状に恐怖し、必要以上に安全運転を心がけていたのです。

しかし、そこで見せられた写真に後輩は絶句しました。
まるで記念写真のように、はっきりと自分が写っているのです。

だが、後輩が恐怖したのは写真に写った自分の姿でした。

後輩は、まるで狂人のように天を向き大口を開けて笑っていたのです。
そして助手席には見たこともない女性が静かに鎮座していたのです.
青ざめる後輩に警官は言ったそうです。

「時々あるんだよ,こういうの…」

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