留め山

留め山 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

とめ山ってご存知ですか?
多分、「留め山」って書くのだと思いますが、高野山の近くだけの方言かも知れませんが。

小学生の頃、山登り好きの父に付き合わされて・・・。
近所の山登りに付き合わされていた私は、山の中に張り巡らされたロープを、散々目にしていた。
父に聞くと、そこはとめ山だから入るなと言われた。

そんなこともすっかり忘れた頃、山の中にある本家で法事があった。
法事は退屈だったけど、周りの景色は街中育ちの私には、十分楽しかった。

家の周りは山しかなくて、法事の話は退屈で・・・。
私は山を探検することにした。
法事の最中、親の目を盗んで山に入った。

とめ山のロープを切った覚えは無いけど、女人禁制の域には入っていないはず。
山の中はひんやりしていたのを覚えている。
そして突然、後ろから声がした。

「にえ」

振り返った木の先に、背筋の曲がり過ぎた、小さい不思議な人がいた。

「にえ?」

私は聞き返す。怖いとは思わなかった。
声を返した途端、ヤツは私の横に飛んだ。
何か言葉を呟くが、一瞬わからなかった。

「くってええんか?」

理解したと同時に、跳ねるように地面を転げ落ちた。
降りる余裕がなかった。
ただ逃げたかった。

その日以来、そこには行ってない。
今日、その山近くの縁者に聞いた。
ある時代まで、「(いけ)にえ」を山に捧げていたという。
私が入った山がとめ山なのは、そういう意味。

とめ山は、うちの地域には沢山あるので、違う意味の山もあります。
泣きながら帰った私は翌日、高野山に連れて行かれました・・・。

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