父の話

父の話 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

私の父は現在普通の会社員なのですがその前は興信所で探偵をして、さらにその前は自衛官という、なかなか、ぶっ飛んだ経歴の持ち主です。

父は話上手で幼い頃からよく、レンジャー訓練で蛙を食べた話や浮気調査のターゲットがヤーさんの組員でドスを持って追いかけられただの色んな話を聞かせてくれました。
そんな父が興信所に務めていた時に体験した、2つの怖い話を今回させていただきます。

1つ目の話なんですが、これは父曰く

「未だに幽霊の話なのか人間の話なのかは分からないがどちらにせよ気味の悪い話」

です。

ある日、父の勤めていた興信所に、見た目は人の良さそうなおばちゃんが依頼に来たそうです。
(以下おばちゃんをOさん)
依頼の内容は

「旦那が浮気してるから調べてほしい」

という、定番の依頼だった。

当時はバブルという事もアリ、金回りが良かったからか、依頼の8割以上が浮気調査だったそうです。
で、この依頼の担当に父が選ばれたそうです。
早速父はその旦那を尾行し、調査を開始したそうです。
ところが、この旦那さん1週間以上尾行しても浮気どころか、寄り道もせず、毎日仕事が終わったら真っ直ぐ家に帰っているそうな。

しばらくして、Oさんと話をしたところ、Oさんは

「絶対浮気してる」

とのこと。

父は

「もう何日も尾行してるが、そんな素振りはない」

と伝えると

「そんなはずはない!昨日も家に連れ込んでいた!話し声も聞いた!」

とかなり興奮した様子で言ったらしい。

前日も父は尾行していたがそんな様子は一切無かった。
流石にちょっと気味が悪いと思い始めたそうです。

「そこまで言われるのでしたら、家に来てるんでしたら、Oさんが直接その女性に言われたらどうですか?」

と言ったところ

「分かった、今日の夜聞いてくるから明日また来る」

と言い、本当に次の日来たそうです。
それも朝イチに

「貰ってきた、これがその女の名前と住所や!ここ調べてくれ!」

と言ってきたそうです。

その紙には、S田M子、〇県×市と言った感じで書いてあったそうです。
父は半ば呆れた気持ちで調査に行ったそうです。

(どうせ妄想なんやろうな)と思いつつ書かれてた住所の場所に行くと、家はあったのですが、どう見ても人が住んでる様子ではなかったらしく
(あー、やっぱり妄想やったんやな)と思いつつも仕事なので近所に聞き込みを始めたそうです。

すると少し家の事を知っていてお礼があるなら話してもいいって近所のおっちゃんを発見し、話を聞いてみると

「あの家ねぇ・・・、なんか、住んでる人が少し前に死んじゃったって聞いたけどねぇ」

少し父はゾッとした。
適当に言った場所とは言え偶然にしては気味が悪い、もしかしてと思い

「ここに住んでた人ってS田M子って人ですか?」

そう聞くとおっちゃんは

「あー、そうだよ。
よく知ってるね兄ちゃんもしかして刑事さんかなんか?」

いよいよ、気味の悪い話になってきたので、所長に相談すると

「もう、それはちょっとうちではどうしようもないから依頼断れ」

と言われ、父も気味が悪かったのでお断り。
結局S田M子がOさんの妄想だったのか、果たして幽霊だったのかは謎のままだそうです。

これで1つ目の話は終わりです。

2つ目の話は父が霊という物を信じるようになったきっかけの話です。
父はこの体験をする前までは霊なんて1ミリも信じていなかったそうです。
その時の依頼が家出した娘を探してほしい、だったそうです。

で、その時は後輩のAが同伴での仕事だったそうです。
Aは霊感があるということなのですが、勿論父は信じていませんでした。
目立ちたいが為に嘘を言っているんだと思っていたらしいです。

で、調査の結果その娘は、京都の舞鶴にいることが分かり。
舞鶴に着いて1日目である程度、どこにいるか目星はついたらしいのですが、その日はもう時間も遅く、
近くのY旅館(今もある)に泊まることにしたそうです。

二階建ての木造でかなり古い旅館で、父達は二階の部屋に泊まることになったらしいです。
部屋の中は掛け軸があったりとよく言えば風流、悪くいうと怪談に出てきそうな気持ちの悪い部屋でもあった。
で、特段その部屋の気持ち悪さを際立たせていたのは大きな姿見だったそうです。

なぜかその姿見、白い布が被せてあり、
(なんで姿見に布なんか被せてるんやろ)
と思いつつも、父は別に化粧もしないし、置いといていいかと思い気にもしなかった。

そして、食事も入浴もすませ寝ようと布団について、父がうつらうつらし出すと

ドンッ、ドンッ、ドンッ

と天井から地団駄を踏むような音で目が覚まし。
そして、父は大変寝起きが悪いので、

「何の音?」

とかより

「うるさいなぁ・・・」

とイライラしたそうです。

そんなことを考えてると隣の布団で寝ていたAが父に

「○○さん(父の名前)、あれラップ音ですよ。
今夜覚悟した方がいいですよ・・・」

と言ったそうです。

父は霊を信じていませんでしたし、イライラしていたこともあり

「そんなもんあるわけないやろ!
明日も早いねんからさっさと寝ろ!」

とAを一喝して再び眠りにつきました。

そして、次に父は眩しくて目が覚めたそうです。
見ると窓が開き窓から光が部屋に差し込んでいた。

(なんや、もう朝か?)

そう思い部屋の時計を見ると、まだ2時でした。

(おかしい。昼の2時なわけが無いし、それに寝る前に窓はしめたはずや)

父がそんなことを考えて混乱していると、窓の光がある一点に集まりだしました。
そこはあの大きな姿見でした。

すると、その姿見にかかっていた布が、ファサっとおちたのです。
見ると姿見の中に何かうつっていました。
最初は何か分かりませんでしたが、それがなんであるか分かった瞬間父は絶句しました。
顔でした、女の顔です。
ガリガリに痩せて頬はこけてかんざしをさした女がこちらをジーッと見ていたのです。
父はその顔と目が合い、
(やばいもの見た!)
と思い目をそらそうとしましたがその瞬間、その顔が姿見の中からヌゥっと出てきて父が寝ている布団の目の前まで来たそうです。
父は怖くなり布団の中に潜り

「ナンマイダブ、ナンマイダブ、ナンマイダブ、ナンマイダブ」

とお経を唱えました。
ふと気配が離れたので布団の隙間から覗くと、その女の顔は今度は隣で寝ているAの顔に近づき、のぞき込んでいました。
父はそのまま気を失ったらしく、そこからのことは覚えてないらしく、気が付くと朝だったそうです。

朝食を食べながら父は昨晩の出来事は夢だったのかと思いましたが、夢にしては妙にリアルだったと思いました。
しかし、朝になると窓も閉まっていて姿見の布もちゃんとかかっていたので、やっぱり夢なのかと迷っていました。
Aにきこうかとも思いましたが、昨日怒ったこともあり、

「幽霊見た?」

ときくのもバツが悪い。
どうしようかと迷っていると。

「あの、○○さん(父の名前)昨日のことなんですけど・・・」

とAが昨日あったことを話しはじめて、それが夢ではなく紛れもない現実であったと知ったそうです。
否定したかったが、こっちから話して話を合わせてきたなら否定出来ても、相手に先に全部言われたらもう否定のしようがなかったそうです。

Aが言うには霊感のある自分が近くにいたせいで、父も同調して見えてしまったそうです。
ですので、父には基本的には霊感はなく霊を見たのはこれっきりだそうです。

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