私の住んでいる所はM県の、人口5万人程度の田舎町です。
地元の大型スーパー(名前は伏せます)は2階建てで、屋上は駐車スペースになっています。
よくある作りで1階は食料品、2階は衣料品などが売られていて地元住民はよく利用していました。
もう30年近く営業していると思いますが、そのうち表沙汰になっている飛び降り自殺だけでも3人いました。
2階建てで死ねるものなのか?と疑問に感じますが、下はアスファルトなので屋上のフェンスを乗り越えて飛び降りるとなれば即死…なのかもしれません。
私がそのお店で働き始めて知った事ですが、飛び降りとは関係なく店内には常に幽霊がいるという噂でした。
従業員用の出入口には恐ろしいほどの量の盛り塩がされており、お守りなのかお札なのか分からないものも添えられていました。
社内にはなぜか霊感の強い人が男女共に数人おり、私もどちらかと言えば見える方だったので、「見える人同士」がお互いに何となく分かるんです。
そこで、それとなく幽霊事情を聞いてみると「すみませんオバケ」と「家族連れオバケ」の話を聞きました。
夜になるとお客様も少なくなるので、商品の補充や事務作業をしているのですが
「すみませーん」
というお客様の呼びかけが聞こえて
「はい、いらっしゃいませ」
と返事をしても、そこには誰もいないというのが「すみませんオバケ」です。
私も経験しました。
「家族連れオバケ」は本物の家族かどうかは不明で、30代くらいの女性と50代くらいの男性、小学生くらいの子供が2人いるという内容でした。
家族一緒にいるわけではなくバラバラに現れて、時々入れ替わりがあるらしく面子が変わるそうです。
霊感の強い人いわく飛び降り自殺した人ではないとの事でした。
ただ不思議なのが、幽霊の定員があるのか減りも増えもしないという話でした。
私も実際に会うまではそんな話を面白おかしく聞いていました。
勤め始めて3年が経った頃、飛び降り自殺がありました。警備員さんに聞くと6人目との話です。
自殺者防止の為に3階の屋上駐車スペースにはフェンスの上に更にフェンスを増設して、有刺鉄線もあります。
どこから飛び降りたのかは定かではありませんが、男性だったようです。
その事は公にはされず、社内でも噂しないように通達されました。
その男性の幽霊には誰も遭遇しないので、やはり自殺者以外の幽霊が店内を徘徊しているようです。
社員食堂には、社員がくつろげるように喫煙スペース、ソファスペース、マッサージチェアなどが置かれています。
ある日、夜の遅い休憩を1人でとっていると隅にある手洗い場が気になりました。
そこには使われなくなったマッサージチェアが置かれているんです。
喫煙所が賑やかだったので移動しようかと思いテレビを消した途端、マッサージチェアの方から髪の長い女性が私に覆いかぶさってきました。
恨みを感じたので、私はすぐその場を去りました。
その日は帰社まで私にその女性霊がついてきました。
トイレに入ると誰もいないのにハンドドライヤーが使われたり、ロッカールームの電気が消えたり、ロッカーを叩く音がしたり…。
しつこかったです。
気付いていることが嬉しいのか、女に恨みがあるのか分かりません。
少なくとも私には恨まれる心当たりがありません。
その事を霊感の強い女性に話すと、その1週間後には別の店員が同じ事をされ、その後車に乗られて自宅までついて来られたそうです。
私はお清め塩とお守りを持ち歩いているので、店内から出る前に塩を振って出たんです。
なので自宅まではついて来なかったんだと思います。
その後も、男性と思われる下半身だけしかない幽霊がレジに立っていたりと、怖い体験をしました。
悪い霊ばかりでもなくて、良い霊は子どもを授かる前触れを教えてくれたり、昇進のお知らせをしてくれる妖精の類のようなものも混在していました。
怖いと思えば怖いですが、大きな危害はないので今でも勤めています。