今から5年前、俺が高校生だった頃の出来事。
夏休みのある日、部活中に友人が「心霊スポットの場所を聞いたから後でみんなで行こう」と言って来た。
その日の夕方、たしか午後7時近かったと思う。
部活でよくつるむメンバー以外にも何人か呼び出し、総勢9人で現地へ向かうことになった。
場所は新しく住宅街が建設される予定の地域で、たしか俺たちが小学生だった頃にはまだ田んぼだった場所で、みんな「こんな場所にいわくなんてあったか?」と疑問を口にしながら歩いていると、人気の無い閑散と整地された区画の中に公園はすぐにみつかった。
そして霊現象?も既に起きていた、ただし予想外の形で。
友人が聞いてきた話だと、公園のブランコが風も無いのにひとりでに動き出すという話だったのだが、確かにブランコが動いている事には違いないが予想していた「動き」と明らかに違う。
そのブランコは前後にゆらゆら揺れるのではなく、まるで誰かが掴んでブランコ同士を何度も叩きつけているかのように不規則に激しく動いていた。
あまりにも予想外な状況に唖然としていると、友人の一人が「とりあえず動画を撮っておこうぜ」と携帯をブランコのほうへと向けたときに更に事件が起きた。
友人が携帯を向けた瞬間、まるで誰かがその携帯を叩き落としたかのように手からはなれ落下し、皆「え?」という顔で唖然としながら携帯を拾い上げると、今度はすぐそばで男とも女とも、それどころか大人なのか子供なのかもわからない
「ぎゃあああああ」
というものすごい金切り声が聞こえた。
俺たちはあまりの出来事に意味もわからずその場から走って逃げたのだが、その姿の見えない金切り声はそれから5分近く俺たちを追いかけてきた。
なんとか振り切ったのか、それとも声の正体が追いかけるのを止めただけなのか、人通りの多いコンビニのところまで来ると金切り声も聞こえなくなり、コンビニでジュースなどを買って一息ついていると、今回の件の噂を教えてくれた相手のところへ電話をしていた友人が変な事を言ってきた。
どうやら「ブランコが動く心霊スポット」というのは全く別の公園の事で、噂を教えてくれた相手は俺たちが行った公園の事をそもそも知らないという。
その後夏休み中に自分も含め他の友人たちも何度かその公園に行ってみたのだが、結局あのとき以外何も起きる事はなかったし、それどころかその公園にまつわる「噂」を聞く事すらなかった。
結局今でもあの時公園で起きた事は謎のままなのだが、友人の一人が当事変な事を行っていた。
逃げるときにふと後ろを振り向くと、まるでナナフシのように細長い人間が踊るような動きで俺たちを追いかけているのが見えたらしい。
ただし、そいつ以外はその姿をみていないのだが。