狭まる空間

神奈川県Z市にあるZ高校に通っていた頃の話。

高校時代は放送部に所属してたんだけど、そこの高校の放送部は自分が入る前の年までは15年連続県大会優勝とかっていう、割とその筋では有名な学校だった。
そんな部だから大会前ともなると最終下校くらいまで当たり前の様に活動するのよ。

ある夏の日、いつもの様に遅くまで残って作業をし、そろそろ帰ろうって事になった。
トイレに行きたかった自分は、部室を片付けてから先輩や同級生に先に学校を出る様に告げてトイレに向かった。

無事用を足し、みんなに追い付こうと携帯で帰りの電車の時間を調べながら小走りで昇降口へ向かった。
と、放送室の手前で肩が誰かにぶつかった。

(やべ、携帯ばっかで前見てなかった)と思い、『すみません!』と言いながら振り向くと誰も居ない。
前にも横にも後ろにも誰も居ない。

ちなみに廊下の真ん中に居たから壁とかにぶつかったわけでもない。

(???確かに誰かにぶつかったのになぁ。)

と思いながらも、みんなに追い付きたいから先に進もうとした瞬間。
思いっきり顔面をぶつけた。

しかも何もない空間に。
更に、顔面をぶつけたであろう空間を境に一歩も前に進めない。

大混乱に陥った自分は慌てて反対方向に進んだ。
しかしちょっと歩いてまた顔面を強打した。

もうわけがわからなくなってた。

『うわー!うわー!うわー!』

って叫びながら、何もない空間にぶつかりまくってた。

1・2分くらい経ったころ気付いた事があった。
段々と空間が狭まってきていた。

最初は前後で10m程度あった空間が、半分くらいになってきていた。

『うわー!うわー!うわー!うわー!』

って言いながら見えない壁?にタックルしまくった。

と、次の瞬間友人が急に目の前に出て来たと思ったら、タックルした体が空をきった。
友人は驚いた表情で自分を見ていた。

自分は恐怖と安堵で泣いていた。
その後みんなに合流し落ち着いてから話を聞くと、友人は先輩に言われて放送室に鍵を掛けたかチェックしに来たとのこと。

廊下を歩いていたら急に目の前に自分が現れてわめきながらずっこけてきたらしい。
しかし、その瞬間まで友人は自分の姿も見ていないし、声も聞いていないと言っていた。

一体あの空間は何だったのか。
もし友人が来なかったらどうなってしまったのか。

想像したくはない。

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