怖い話

娘は怖い話を喜ぶお年頃だが、私は怖い話をあまり知らない。
せがまれて話しても、「あまり怖くないね」と言われることもしばしば。

ムキになった私は、ネットで怖い話を探し始めた。
しかし、いかにもありがちな話ばかりで、「これは!」と思うものがない。

いろいろ巡っているうちに、怖い話の作り方のようなものが書いてあるサイトにたどり着いた。
そのサイトの内容に従って、娘に怖い話を聞かせてやった。

「うちのマンションの2基あるエレベーターの、左側のやつに乗ってたら、ドアのガラスに誰か映ってる。
 後ろを振り向いても、誰もいないのよね・・・」

出来上がった話はこれもありきたりだが、
自分の生活区域に「異物」を紛れ込まされた娘は、大変怖がった。
そして私は得意になってその「ガラスに映りこむ何者か」を血まみれだの、
恨めしそうな眼だのと脚色してサラに怖がらせた。

数日後、娘が「お母さんが言ってたヤツ・・・見ちゃった」
と真っ青になって言い出した。
「私が見えるのね・・・」と耳元で囁かれたと。

気になって、先日見たサイトを調べてみたら、そこに書かれていた内容は
「怖い話の作り方」などではなくて、

無意識に見えていた霊を、はっきり見るための方法だった。

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