自慢のぬか床

自慢のぬか床 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

俺のばあちゃんの話。

俺のばあちゃん、かなり痴呆が進んでて、まともにコミュニケーションがとれない状態だったんだけど、ぬかづけだけはせっせと漬けてて、これがめちゃめちゃ美味くて、俺大好きだったのね。
けど俺以外(両親や親戚)は全く食べようとしなかった。

バクバク食う俺を見て、ばあちゃんはボケてるなりに嬉しそうなリアクションしてたから、「みんなも少しは食ってばあちゃんを喜ばせろよ」と思ったもんだ。
で、そのばあちゃんも数年前に他界したんだけど、これはそのときに叔母に聞いた話。

ばあちゃんの旦那(俺のじいちゃんね)は終戦直後に亡くなったんだけど、かなり厳しい人で、ばあちゃんに対してもキツイことばかり言ってたんだけど、ぬかづけだけはよく褒めてて、ばあちゃんはそれが自慢だったとか。
でもじいちゃんが亡くなった際、ばあちゃんはちょっと気が触れたみたいになって、「この人、私のぬけづけが大好きだったのよ」なんて言いながら、じいちゃんの脳味噌を自慢のぬか床に混ぜちまったらしい。

まさかと思ったが、当時は終戦の混乱もあって遺体の扱いは結構アバウトだったとか。
それだけじゃなく、その後どこからか犬猫の死体を持ってきては脳味噌を漬けこもうとして家族に止められたんだそうだ。

で、俺以外はみんなこの話を知っていたわけだが、さすがに誰一人食わないんじゃばあちゃんが可哀想だから黙っていたとか。
俺はスケープゴートにされたってわけだ。

(ちなみに俺が登場する前は、叔父とか従兄弟がその役目を担ってたとか)
さすがにムカついて母さんを問い詰めたら、「そんなワケないでしょ」と笑われた。
でもぬかづけを食おうとしなかったことについては言葉を濁すんだよね。

確かめようにも(見てわかるのかわからんが)、ぬか床は葬式の際処分しちゃったし。

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