ある晩。
夜中ごく普通に自室で眠ってたら金縛りにかかった。
金縛り自体は昔からよくあるほうで、せいぜい「うへ、また来たよ」くらいにしか思ってなかったんだが、その日はいつものパターンとは違ったわけで。
慣れてるとはいえ、まーちょっとは焦りつつ、身体の動かせる部位確認。
手の先のほうとまぶた、眼球は何とか動く。
ついリキむ癖があるので、動く右手でパイプベッドの柵をガッツリ握り締めてみたりしつつ悶えていたら、いきなり足首を掴まれる感覚。
「!!?!?」
ぶっちゃけ怖い話は好きだがそこまで信じてはいない方で、マジモンで掴まれるとか初めてだったので超焦り。
その上今度はなんかぼそぼそ声まで聞こえてくる始末。
ヤバス!テラヤバス!!
てか掴むんじゃねえええええせdrtfyぐひjこなどと恐怖を感じつつ、開けちゃいけない、目を開けちゃいけないと思ってたのに、馬鹿な俺はついついまぶたを開いてしまった。
掴まれた足首方向を凝視──なんもない。
強張ってプルプルしてるてめーの足が見えるだけ。
とたんなんかホッとして、気付いたら声も足掴まれる感覚ももうなくて。
あー、夢か。
すぐ身体も動くだろ…とか気合を抜いて視線を天井に戻した。
…父さん。
知らないオネーチャンの顔がボクを見下ろしてるよ、父さん。
俺超パニック。
目をギュッと閉じて声にならない叫びを咽からヒューヒューもらしつつ、いねバカ、帰れバカと脳内で絶叫。
しばらく悶えてたら拘束感がすぅっと消滅、金縛りが解けた。
恐る恐る目を開けると、もうそこにはオネーチャンの姿はなく。
もはや眠れず、夜明けまでドキバクしながら待った。
さて、ここからがある意味本題。
…どうして、目ー開けちゃいけないと思いつつついつい見ちまうんでしょうね、みんな。
俺らテラバカス…