石じじい(妖怪の名前みたいですが)の話です。
「叫ぶ石」というのを見たことがあると言っていました。
なにそれ?という感じですが、或る日、それほど山奥ではないところで、ありふれた砂岩をハンマーで叩いたら、その石が叫び声を上げたとのこと。
長く尾を引いた
「ぎゃぁーーーーーーーぅ」
というような。
最初は、石とハンマーが出す音かと思ったそうですが、叩くたびに、その衝撃音と合わさって叫び声が聞こえるので、怖くなったと。
ハンマーというのは、新調すると、すぐに強く硬い石を叩くと縁が欠けたりするので、まず柔らかい石(砂岩や泥岩)や枯れ木などを叩いて、「慣らす」のだそうです。
そのときに起きた怪事でした。
ちょん、ちょんとこづいたくらいでは叫ばない。
思いっきり叩くと叫ぶ。
男の声か女の声か区別できないような声だったとか。
その石はどうしたの?と尋ねると、そのまま置いてきたとのこと。
「そんな石、抱えてもってかえることができるか?」
と。
その後、なにも祟りのようなものはなかったのか?と尋ねたら、
「ああ、その後もなにも、叩いているときに鼻血が出始めて、とまらんでおじょうしたわぃ」