ゆっくり怪談さんに読んでいただいたので、知っている人がいるかもしれません。
洒落怖の過去ログに「心中した叔父夫婦」で掲載されている話をこちらに掻き込んだ者です。
あの時はまだJKとかそんなだったから、語り口調がアレですみませんでした。
フェイクを入れつつ、その後の話を書こうと思います。
今は全然違う仕事をしているのですが、うちは祖父の代まで代々漁師の家系でした。
今は新しい家になりましたが、立て直す前の家は確かに、海に面した家の三分の一が漁に使う道具のあふれる船小屋?のようになっていました。
私の先祖、ひとまずおじいちゃんとしますが……は、ある日漁に出て、人が浮いているのを見つけました。
船から落ちたか、海藻を取りに来ていて足を滑らせたか。
どこから来たのか、いつ頃死んだのか。
そんなことは解りませんが、その死体は真っ白くブヨブヨに膨れ上がった、俗にいうドザエモンでした。
その頃の漁師仲間の間では、水死体を見つけた時には引き上げて手厚く葬ってやると、霊が恩返しをするのか、引き上げてくれた船が大漁になるという話がありました。
実際、どんな悪天候や他の船に魚がかからない時でも、水死体を引き上げた船だけが豊漁になったそうです。
しかし、流れてきた死体の恐ろしさに、おじいちゃんはすっかり怯えてしまいました。
こんなものを船に引き上げるなんて、と思ったのだと思います。
「明日また来るから、その時に引き上げてやるからな」
物言わぬ水死体にそう言って、その日は早々に漁を切り上げて岸へと戻りました。
翌日、またおじいちゃんは漁に行きました。
あの死体が沈んでしまっていればいい、と思いながら。
人間は水死すると一度沈むのですが、ガスか何かで一度浮かび上がり、もう一度沈むともう二度と浮いてこないのだそうですね。
水死体は船の到着を待つように、昨日と同じ所に浮いていました。
もとは同じ人間だったはずなのに、とてもそうは見えないブクブクに膨れあがった水死体が、ユラユラと波に揺れています。
おじいちゃんは、やっぱり恐ろしくて、自分の船にそんな死体を乗せるのが嫌で、その場を離れました。
さらに次の日。
おじいちゃんの船が同じ辺りを通りかかった時にはもう、死体はありませんでした。
しばらくして、一族に不幸が立て続きました。
昔は子沢山で親戚が沢山いましたが、働き盛りのお父さんや長男がバタバタと死んだのです。
働き口のない田舎で、生活保護がない時代に、おっかさんと沢山の子供を残して。
心臓発作か脳梗塞か、今なら解剖して死因を調べることも出来るでしょうが、あやしげな町医者しかいない昔のことですから、『原因不明の死』として片付けられました。
これが何代前の話になるのか正確には解りませんが、以来、うちの一族は長男が長生きしない家系になったそうです。
かといって男が生まれないのではなく、むしろ必ず一人目には男の子が生まれています。
自分が生まれた時には、一族の中でも特別長生きだと言われたおじいちゃんももういませんでしたし、以前こちらに投稿した話のとおり、色々あって長男である叔父は三十代で死にました。
そしてあのときの話に出てきた兄も去年、三十歳を前に他界しました。
兄の死因を書くつもりはありませんが、事故というには不可解な死でありました。
兄には男の子供が一人います。
「頼むから、頼むから、もうこの子の代で終わりにしてくれ。勘弁してやってくれ」
と泣いた母が、ぽつぽつと語ったものをまとめました。
『~だったそうです』がたて続きそうだったので、自分が見てきたかのように語っていますが、全て母からの伝え聞きです。
スレ汚しすみません。