日本有数の豪雪地帯として有名な秋田県横手市に伝わる、全くもって得体の知れない不気味な話。
ある年の冬、子供たちが雪を積んで、かまくらを十ばかり作った。
そこへ川井昌助という男がやってきて、何の気なしにかまくらのひとつを覗いてみた。
中では、あろうことか子供たちが男の死体を斧で切り刻んで遊んでいた。
かまくらの中は鮮血でいっぱいになっていたという。
仰天した川井は、もうひとつのかまくらを覗いてみた。
中では、やはり子供たちが笑いながら女の死体を弄んでいた。
茫然とその光景を見ていると、やがて子供たちがゾロゾロとかまくらの中から這い出してきた。
十ばかりあるかまくらから出てきた子供たちは、皆一様に大人の生首を持っていたという。
真偽も、この猟奇事件の顛末も、子供たちの正体も一切伝わっていない。
ただ天保の末頃の話だという。