五年ぐらい前の話思い出したから書く。
当時、ニートだった俺は友人の紹介でカラオケ屋でバイトしてた。
それでフリーターってこともあり深夜帯のシフトに入ってた。
深夜の仕事なんてそうじとたまに来る客の相手ぐらいで特にやることなかったんだけど、なぜかアルバイトが三人いたんだよね。
うちのカラオケ屋は四階建てで一人は接客と一階のそうじ、一人は二階のそうじ、一人は四階のそうじを担当してて、なぜか三階は二人でそうじすることになってた。
入った頃は特に違和感なかったんだけど、バイト中は暇な時間が多いから事務所で先輩たちと話してて
「そう言えば三階は二人でそうじなんで楽ですよね(笑)」
みたいなことを言ったんだよ。
で、しばらくそこで働いていたんだけど、その紹介してくれた友人と遊んでる時に、友人が「バイトどう?」って言ったから
「らくだし楽しい」って答えたら
「そうか」みたいな感じでその話は終わったんだけど、なんか意味ありげな返しだと思ったんだよね。
ちなみに友人はそこの元バイトで、そのときは就職してます。
それである時先輩の一人がバイトに来る途中事故にあって来れなくなっちゃったんだよ。
深夜だし、代わりも見つからないから二人でやることになった。
もともと二人で余裕な仕事だったから特に困らないんだけど、先輩だけがなんか焦ってた。
うちのカラオケ屋は深夜フリーがあるんだけど、平日には経費削減で二階までしか入れれないことになってて、深夜三時になったら、四階と三階をそうじするんだよね。
二人しかいないし、先輩は接客してたから、一人で四階と三階のそうじをしに行ったわけ。
それで四階が終わって三階のそうじに行こうとしたら、先輩から連絡が来て
「三階はやらなくていいよ」って言われた。
まぁでも暇だったし「一人でやるんで大丈夫っすよ(笑)」みたいに言ってそうじしにいった。
いつもみたいにそうじしてたら、エレベーターから見て一番奥の部屋の電気がついてた。
うちは客入れないと電気付かないから、おかしいなとは思ったんだけどとりあえず他の部屋をそうじしてた。
それでその部屋の隣でそうじしてるときに急に
「バンッ!」
ドアの閉まる音がして、見に行ったらその部屋のドアが閉まってた。
「なんだ?」とは思ったけど、特に気にせずその部屋そうじし始めたら、今度はカラオケに曲が流れ始めた。
ビビって演奏停止押しても初期化しても流れ続けてたんで、なんかおかしいと思いそのまま放置してダッシュでフロントまで行った。
正直この時半ベソかいてた(笑)
先輩に言ったら「三階放置でいいから!」って言って、なんか先輩もビビってそれから何もしゃべらなかった。
変な空気のままバイト終わって、友人にそのことを話したら「今日会えるか?」って言われ、その日の夕方に会うことになった。
ここからはそのとき友人に聞いた話。
「前からずっと、毎週木曜日にカップルで来てる二〇代ぐらいの常連客がいたんだよ。
お前が入る半年ぐらい前にその女の子が一人で来てさ、俺が後からもう一人来るか聞いたら『いえ……一人で』って言ってたから別れたんかな?と思ってたわけ。
で、十分前の連絡したんだけど一向に出なかったんだよ。
それで時間過ぎても降りてこないから部屋を見に行ったら、部屋の電気にヒモつけて首吊ってた。
(ちなみに自殺したのは俺が怪奇現象を体験した部屋)
そのとき〇〇(忘れた)の曲が流れてて、その人がプラプラ軽く揺れて部屋にある鏡越し眼があった気がしたんだよ。
あまり思い出したくなかったし、店から部外者に話すなって言われてたから黙ってた。
で、それまで三階四階のそうじは一人でやってたんだけど、気分悪くなったり理由いわずにやめるヤツが続出して、二人でそうじすることになったんだよ」
だいたいこんな感じのことを言われて、俺もその後やめたから今はどうなってるかわからない。