学校の怪談と言うと小学校が舞台になる事が多いけど、うちの中学校にも色々噂はあった。
よくある七不思議がメインだったんだけど、一つ聞いた事が無いものがあった。
それは旧校舎の三階にある非常ベルの下に人の顔みたいなシミがあって、それにイタズラすると悪い事が起きると言うものだった。
悪い事って言うのが、特に何が起こるって定まってないので、たまたまイタズラして起こった事をシミの呪いにしてるんじゃないのかって、誰も信じてなかった。
でも、そのシミに何かしらした奴は確実に痛い目にあってんだよ。
知ってる限りでは、最初にイタズラした奴は煙草の火を押し当てたんだけど、その後に技術の授業でハンダゴテで火傷したし、シミを削って消そうとした友達は美術の時間に彫刻刀で指をバッサリやった。
自分たちの不注意と言えばそれまでだが、微妙にやったイタズラと似通った物が返って来てるって言うのが気味悪い。
で、そういった話があると必ず霊感少女って言うのが出て来るのだが、彼女が言うには
「それは校舎を作る時に巻き込まれた犬の霊が怒ってるから」
だとか騒ぎ始めた。
女子の何人かはそれを信じちゃって、シミにいたずらしようとする生徒に物凄い剣幕で非難したり、殴りかかったりするようになったんだよ。
たぶん集団ヒステリーとかそんな類だと思うんだけど、とにかく尋常じゃ無かった。
しかし冬休みの間に学校が校舎の壁を全部塗り直してシミが無くなると、シミの話をする奴も居なくなってそのまま卒業した。
結局あれは塗りつぶせば良かったのかと、気楽に思ってたんだけど、最近ネットのニュースで通ってた中学校の記事を見つけたんだよ。
詳しい事は書けないけど、不名誉な内容で有名になってるみたいだ。
もともとお上品な学校じゃ無かったけど、オレたちが卒業してから荒れていったって話をきくんだよ。
つまりシミを消してから翌年だ。
もしかしてあのシミを塗りつぶした学校が、今度はシミに塗りつぶされようとしてんのか…なんて思ったらちょっと怖い。
まぁ関係無いだろうけどね。