これはキャンプ好きのC君の話です。
ボーイスカウト活動で仲の良かった彼はよく仲間と共に困難な場所でのキャンプをおこないました。
木の枝の上に足場を作って野営をしたり、斜面でテントを貼って寝たりとか、なかなかハードな日々を過ごしていました。
ある年の事、春になってある山に友人とキャンプにいった時の事。
山の渓谷のような場所でキャンプをしたそうです。
雪解けの水がつめたく、大変おいしい水だったそうです。
あまりおいしいので同行した女性が水でわってつくる濃縮のオレンジジュースを沢の水でわってくれて、仲間で飲んだそうです。
その場所で、その夜はキャンプする事になったのですが、深夜の事テントの周りを歩く音がします。
「ぱさ ぱさ ぱさ」
枝をふみ 歩きまわる音が聞えます。
誰だこんな深夜に登山はないだろう。Cはゆっくりと起き上がると仲間を起こしました。
確かに足音は聞えます。
泥棒か。怖くなったCたちはそっとテントのふちを持ち上げました。
するとそこには、全身にうじ虫が湧いた腐乱死体のような男があるいていたのです。
「うわーっ」
全員が飛び上がり、絶叫すると男はすーっと消えていったのです。
翌日、cたちは渓谷の100mほどの上流で腐乱死体を見付け警察に届け出たそうです。
冬山で遭難し、雪に埋もれていた遺体が雪解けと共に渓谷に押し流されてきたものだったそうです。
春になり雪も解け 一気に腐敗しうじが湧いた状態で発見されたそうです。
Cはそのあと付け加えました。
「あの遺体発見の前夜、うかつにも下流で水で割ったオレンジジュースを飲んだだろう。
おれだけつぶつぶが入っていたんで、濃縮ジュースでつぶつぶなんてあるんだって同行した女の子に聞いたら、いや普通のオレンジだっていうんだ。
おれのカップには確かにつぶつぶが3、4粒入ってたんだよね。
今思うとちょっと動いた気がするけど」