昔ばーちゃんから聞いた話を一つ。
第二次世界大戦中、うちのばーちゃん(サノ)が10歳のころ、お姉さんと避難のために親元を離れ、田舎の遠い親戚の家に預けられていた。
しかし、この村にも爆弾が落とされた。
たくさんの人が死に、親戚の人も亡くなってしまった。
サノとねーさんはそこにはいられなくなり、その日のうちに、隣の県にあるもう一つの親戚の家に行くことになりました。
空襲で線路は壊され、歩いて行く事になりました。
道は険しく、食料不足のため治安も最悪でした。
人気の無い山道を選んだがとても寒く、そんなときは
「新聞紙を服の中に挟むと暖かいよ」
と、ねーさんが優しくサノを守ってくれました。
何とか県境へ入り、そこからバスで親戚の家へ向かいました。
バスの中でサノはいつの間にか寝てしまい、目が覚めると、親戚のおばさんに起こされていました。
「よく一人できたね、サノちゃんはホントにえらいわー」
と言われた。
起きると姉はいなくなっていたのだ。
それどころか、姉は実家にいたとき、サノが9歳の頃にすでに肺炎で亡くなっていたのだった。
この1年間共に過ごした姉は、この世の人では無かったのでした。