あんまり怖くないかもしれないけど、昔、叔父さんからきいた話です。
叔父(以後、S治)が小3の時クラスにN谷さんという子がいた。
N谷さんは掃除していない奴に進んで「ちょっと!」とか言いに行くクラスの委員長っぽい性格で、女子の友達は多いけど、一部男子からはちょっと疎まれやすい感じの子だったらしい。
S治はわりと大人しく、真面目な学生だったということでN谷さんに怒られることもなかったし、遠足の班が一緒だったこともあって仲良くしていたらしい。
二学期になった頃、S治はいきなりN谷さんに誘われて交換ノートをしたりもしていたらしい。
んである時、男子の中の一人が「N谷さんにスカートめくりをしよう」みたいなことを言ってきたらしい。
それは掃除の時、男子数人で教室の隅にたむろし、N谷さんが注意しに来たところ、スカートをめくるというごく単純なものだった。
S治はN谷さんと交換ノートをしてたりで以前から噂になっていたので、これ以上疑惑が深まらないよう、止めもせず賛同したらしい。
掃除の時間、作戦決行となり、S治を含む4~5人で部屋の隅に固まっていると、早速N谷さんがこちらに近づいてきた。
その瞬間、男子全員が一斉に立ち上がり、スカートをめくって逃走!
のはずだった。
スカートをめくった瞬間全員が一瞬見てしまった。
N谷さんには太腿辺りが存在せず、二本の太い金色の鉄パイプのようなものが膝の少し上から繋がっていて、それを覆うように半透明のヒヤシンスの根のようなものがビッシリ生えていた。
皆、一瞬「えっ?」って感じになった後、全員「何かやばい」と感じて逃げたらしく、次の瞬間にはS治以外誰もいなくなっていた。
でも何かがおかしい。
スカートをめくった奴ら以外の他の生徒も皆いなくなっている。
S治が見上げたN谷さんの顔は、顔全体がピンク(しかも人工的で消しゴムみたいなピンクだったらしい)になっていて、全体的に縦に歪み、左右の眼の大きさが二倍ぐらい違ったらしい。
キ―ンっていうような音が教室全体から響いてきて、気がつくとS治は通学路にいたらしい。
昼休み直後だったはずなのに、時間は既に15時を過ぎていてちゃんと外履きだったし、ランドセルも背負っていた。
S治が焦っていると前からN谷さんが歩いてきた、いつも通りの姿に戻っていたN谷さんは
「A君(スカートめくり案者)に言われたの?」とS治に怒るでもなく聞いてきたらしい。
S治は咄嗟に、自分は(教室で飼っていた)カマキリに餌をやっていただけで何があったかよくわからない、というようなことを言ったらしい。
N谷さんは「ふーん」といってしばらく黙っていた後「交換ノート返して」と言ってきた。
言われるがままにノートを渡すとN谷さんは去って行った。
S治は状況が呑み込めなかったし、ただ漠然と「怒らせたかな?」と思ったらしい。
次の日、特に何もなく学校に行くとN谷さんはいなくなっていた。
誰もN谷さんを覚えていないし、机も最初からなかったようにきっちり一つだけなくなっている。
周りに聞いても「誰それ?」みたいに変人扱いされるし、写真も残っていなくて、皆で撮ったはずの集合写真もない。
それを親とか教師に聞いても「そういえばないね」みたいなリアクションしか返って来ず、結局N谷さんは最初からいなかったような生活になっていたらしい。
N谷さんは本当にいったい何者だったのだろうか。
叔父(S治)は他界してもう聞けません。
スカートめくりチームには特に何もなかったらしい。
A君はその2~3週間後骨折したけど、わりといつも怪我してて、ギプスをつけてない時のが珍しいような子だったらしい。