いったいどこに帰ったのか…

いったいどこに帰ったのか・・・ 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

ほんの3日前の話です。
正月、実家へ帰省しました。
ところが、実家に着いたら、

「ただいまー。おかあさーん…」
「あの、どちらさまで?」
「何言ってんの…。私。○美」

まるっきり他人の目で見ている母。
お兄ちゃんが出てきて、気付くかと思いきや、「何?なんなの」って。

運転免許証見せても2人は不審な顔をするばかりで、ぜんぜん気付いてもらえない。
どうして?何で?結局、らちが明かないので引き返し、泣きながら考えた。

正月だからホテルとかいっぱいだし、近くにはない。
やがて、小学校時代の親友の家を訪ねる事にしました。
親友はいなかったけど、おばさんは元気で私のことを覚えていてくれた。

事の次第を話すと大変びっくりしたけど、「とにかく、今日はもう遅いから明日おばさんと一緒にいこ」と言ってくれた。
その夜は安堵と疑問でゴチャゴチャして、なかなか眠れませんでした。

翌朝、見回すとおばさんはいなくて、先に実家に行ったのかなと思い、私も行きました。
(鍵は田舎なのでネジをとめるだけでした)

こわごわと実家に行くと、おばさんはおらず、かわりに母がいました。
私を見ると、

「アンタ!何してたの!」
「えっ…」

「昨日帰ってくるって言ったでしょ!だのにいくら待っても来ないから、えらく心配したがな!」
「え?え?だって昨日行ったら…」

「一日中いたけど、誰もこんかったわ」

もう頭の中が真っ白です。
壮大などっきりに引っかかった気分で、ボーっとしていると、

「それで、アンタ昨日はどうしてたの」
「え、○○ちゃんとこに泊まらせてもらって…」

「ちょっと。やめて」
「え」

「あそこ、おととし火事で燃えちゃったのよ。泊まれるわけないでしょ」

そんな。昨日は確かに泊まった。
おばさんだって…。

「その火事で○○さん(おばさん)が亡くなったのよ」

今、実家でこれを書いています。いまだに信じられません。
なお、その後もう一度行ってみたら、全然別の家が建っていました。
もちろん、おばさんはいませんでした。



続報、と言っていいのか分かりませんが。

あのあと、再び今の住居に戻ってくる際に、卒業文集の電話番号などをメモって、親友(おばさんの娘さん)に1度連絡を取ろうと思いました。
結果は、半ば予期したとおり行方不明。

おじさん、つまり父親はずいぶん前に離婚したあと、借金で自殺しています。
何より衝撃だったのは、墓や葬式の記録といったものが一切なく、部分的にとは言え、ひとつの家族の存在が抹消されたことになります。

そんな中で、どうしておばさんは私の前に現れたのでしょうか…。

★この話の怖さはどうでした?
  • 全然怖くない
  • まぁまぁ怖い
  • 怖い
  • 超絶怖い!
  • 怖くないが面白い