押入れの青い空間

押入れの青い空間 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

中2の頃、ふと何の気なしに自分の部屋の押入れを空けたら、そこに何もない青い空間が広がっていたことがあった。

その時はびっくりしてすぐ押入れを閉めたけど、それから何度もそこに青い空間が広がっていたことがあった。
家族に話したこともあったような気がするけど信じてくれなかったし、誰かが一緒にいるときには決まって青い空間は現れなかった。

最初はびっくりしたけどだんだん慣れてきて、今度青い空間が広がっていたらそこに何かものを投げ入れてみよう、と思うまでになった。
そして、ある日押入れを開けたらいつものように青い空間が広がっていた。

一瞬ぎょっとしたもののすぐに落ちついて、さぁ何を投げ入れようかな、と思ってあたりを見回すと、部屋の片隅に古いピカチュウのぬいぐるみが転がっていたので、それを投げ入れることにした。
ピカチュウのぬいぐるみを投げ入れると、それはすーっと青い空間の中を落ちていって、見えなくなってしまった。

あとになって一応部屋中(押入れの中も)探してみたけど、ピカチュウのぬいぐるみはどこにもなかった。
それで少し気味が悪くなって、あまり押入れを開けないようにしていたんだが、ある日うっかりガバッと大きく開けてしまった。

(いつもはそろそろと少しずつ開けるようにしていた)

そしたら、漏れの横を家で飼っていた猫がするっと通り抜けて、そのまま青い空間の中に落ちていったんだ。
あわてて叫んだけどもう間に合わない。

猫はそのまま行方不明になってしまった。
可愛がっていた猫だけに滅茶苦茶ショックで、漏れはその日以来押入れどころか部屋にすら入らないようにしていた。

それから2.3年後に、高速道路建設の話がきて、家は取り壊されることになった。
結局あれ以来押入れは一度も開けないままだったし、部屋にも殆ど入らないままだった。

今、漏れの家があった場所は高速道路にかわっている。
もう確かめる術もないのだが、あの青い空間は何処に通じていたのだろうか。

そして猫とぬいぐるみは何処へ消えたのだろうか。

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