お気に入りの釣り場所

お気に入りの釣り場所 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

知り合いのTが体験した実話

大阪のとある一級河川へ夜釣りにいったTは、いつものお気に入りの場所へ到着
河川敷公園から程近い、川に架かる国道の橋の下で、街灯の明かりも月明かりも届かない特に暗いポイント

腰を下ろして釣り始めて、しばらくすると暗さに目が慣れてきた
Tはかなりの近視だったが、普段はメガネをかけないのが常で、この時もそうだった
30分程経って、なにげなく周りを見渡して見ると、2~3メートル後ろに人が居ることに気づいた
釣りを見物する人や、話しかけてくる人は普段からいたので、特に気にすることもなくTはそのまま釣りを続けた

けっこうな時間が過ぎたが、後ろの人が立ち去る気配はなく、話しかけてもこない
特に意識していた訳ではないが、後ろから見られている認識は頭の隅にある状態で、Tは居心地の悪さみたいなものを感じ始めた
振り返って見ると、橋の下の暗がりの中に確かにいる、2~3メートル離れた真後ろに

Tは意地になったらしい、「挨拶もせずに長時間人の後ろに張り付きやがって、見るなら勝手に見てろ、礼儀知らずが」そう思った
後ろに居てるのがおかしな奴なら、危ないんじゃないかと思うが、へそ曲がりなTはそうは考えなかったらしい
それから実に2時間以上、物音ひとつ立てない見物人を無視して釣りを続けた

東の空がうっすらと明るくなってきて、少し離れた河川敷公園の方から、犬を散歩させている人が歩いて来るのが見えた
その人はTの近くまで来ると立ち止まって、TとTの後ろを交互に何回も見ている、数分間も
またおかしな奴が来たのかと思っていたら、犬を連れたその人は半ば震えながらTに話かけたらしい

「う、後ろ!後ろ!」

Tが釣り始める以前から吊ってたんだが、その後の警察への説明が大変だったらしい
T君が釣りを始めたときにはすでに首を吊ってブラ下がった状態だったらしい
真っ暗な場所だったのと、かなり視力が悪かったので、まったく気づかずに自殺現場の目の前で釣りを始めてしまったって話

犬を散歩させてた人が「ぶら下がったままで動いてた」とか証言したのと、たった2~3メートルの距離で気が付かないなんてことがあるのか?って事になって、警察にさんざん質問されたらしいよ

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