高校の頃の体験。
塾の帰り、滅多に使わない公園の脇の裏道を通った。
その1年前程の夜にそこで日本刀持った男が通りがかった人に斬りつけるとか言う事件が起こり(軽傷だったらしいが)、それ以外にも変質者が現れる等の話があり、親や学校からも暗くなったら通るなとお達しが出てた場所であった。
いつもは言いつけ通り使わなかったんだが、その日は塾に少し長く居すぎたせいで時間は10時を越えていたので、近道についそこを通ってしまった。
横にある誰も居ない公園の外灯から漏れる薄い明かりに照らされながら歩いてると、前の方から一人の女が歩いてきた。
場所も場所だけに少し不気味で、刺されないだろうかとか少々飛んだ事を考えながらも歩は進み、女との距離が近づいていく。
少しビビりながら女を見ていると、不意に違和感が沸いてきた。
女はもう目の前だ。
すれ違った瞬間、俺は違和感の理由を理解すると共に、背筋に激しい悪寒が走った。
(・・・・首が無い)
その女の胴体と頭を繋げる首の部分が無く、女の頭が胴体の上にゆらゆらと浮いてたのだ。
見間違いだろうと思いつつも俺はしばらく振り向けずに歩いていたが、いろいろ考えた末、50M近く歩いた後に意を決して振り返ってみた。
女は俺とすれ違った場所に居た。
胴体こそ後ろを向いた状態だった。
しかし頭。頭だけが俺の方向を向き、俺を見ながら声こそ聞こえなかったが口を大きく開けて高らかに笑っていた。
声も出せず、腰砕けになりながらも俺は即座に走って逃げた。
以後、その道を昼間でも通った事は無い。