小学校の時の休み時間に、「二人羽織りで絵を描こう」みたいなのが流行った。
俺が前で、友達が鉛筆を持って後ろから絵を描くっていうスタイルでその「二人羽織りでお絵描き」をやっていると、なんだか突然後ろの友達が暴れ出した。
突然。
で、次の瞬間描いていた絵に赤い小さな点がパッと広がったと思ったら、それは俺の血だった。
友達の暴れた手に掴まれていた鋭利な鉛筆の芯が、俺の首から頬にかけて、7センチほどに渡って斬りつけた時の一瞬の血しぶきだった。
幸か不幸か、とにかくそのキズは本当にけい動脈すれすれのところだったが、あれよあれよという間に首に血が流れていくその感触は、流血の量がハンパじゃないことを意味していた。
痛みももちろんあったが、それ以上に「何が起こったんだ?」という方が大きかった。
まさか鉛筆でこんなに血が出るとは思わなかったから。
当然周りのみんなが騒いで、即保健室に行ったが、妙だったことは、後ろにいたあの友達がもっとも驚いていたことと、彼には手を暴れさせた記憶がなかったってこと。