瞑想

瞑想 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

25年も前の話だ。
そのころの俺は高校生で、オカルトにはまっていて、よく瞑想していた。
『TMCテープ瞑想法』という本を読んで、毎日自分の部屋で続けていた。

数ヶ月も経った頃、身の回りで奇妙なことが起こり始めた。
自分の文房具や小物が知らぬ間に消えてしまう、というものだった。
そしてそれらは決まって忘れた頃に、とんちんかんな場所で見つかった。
徐々に直感が鋭くなり始め、友人の考えなどが手に取るようにわかるようになった。

ある晩、いつものように瞑想をしていると、意識が徐々に空へと移動しているのがわかった。
目を閉じているのに外が見える。

天井を越え、自宅の空中、そして日本上空から成層圏を越え、気がつくと地球を見下ろしていた。
あまりにも美しい光景に見とれていたが、気がつくともの凄い速さで地球から遠ざかり始めた。
自分の視界から惑星が次々と離れてゆく。

気がつくと遥か太陽系を越え、見知らぬ星々がある銀河系の中にいた。
直感で、とても肉体を持つ人類が来れる距離ではないことを感じた。
よく見ると前後左右上下と、星しか見えない。
皆さんは足が地面についていないという体験をしたことがあるだろうか・・・
とても奇妙で、宇宙とは自分を支えてくれるものが何もない空間なのだ。
俺はそのことと、地球からとんでもなく遠いところに来てしまった恐怖で『早く帰りたい!』と強く念じた。

その瞬間、意識が肉体にスッと戻れた感覚がした。
恐る恐る目を開けると、そこは自宅の自分の部屋だった。
戻ってこれたことに安心したが、これにより人間の意識は距離に関係なく肉体を離れられることを理解した。

しかし、その後は身の回りで事故が多発したり、悪いことが重なったので、瞑想はやめた。

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