先週の週末の夜の事。
翌日が休みって事もあって家でちょっと晩酌でもしようと駅からの帰り道からすこしそれた所にあるコンビニに寄って酒とツマミを買った。
いつもならそこで元の道へ戻るんだけど、その日は何故だか(他にも家に戻れる道があるかもしれないな)と、元の道に戻るんじゃなくてなんとなくの方向感覚で家に向かって違う道を歩こうと思った。
んでコンビニを出ていつもは真っ直ぐ進んで右へ曲がって行く道をコンビニからすぐ右に出て左に出れる道を探そうと左に進んだ。
簡単に図っぽくするとこんな感じ。
駅 → 家
↑(いつものルート)
コンビニ →(違うルート)↑
んで右に出て50mくらい歩いたところで左に曲がる角を見つけたんでそこを曲がったんだけど、その通りだけやけに古めかしい木造の平屋がずっと続いてて、塀も木造で電柱も木だった。
今思うとこの通りだけ木の電柱なんておかしいんだけど、その時は(なんか昭和30~40年の街並みみたいだなあ)なんて呑気に思ってた。
んで進んで行くと、どの家も電気がついてない。
夜だからどこからか明かりが見えてもいいはずなのに明かりなんて道路の電灯だけで、通り全部の家が空き家のようだった。
それくらい人の気配がなかった。
更に歩いたところで、他の家よりも少し庭が広い家があった。
門が広くて、そこから雨戸の閉まった縁側と庭が見える。
その庭には住んでるのかわからないが、家主が盆栽でもやってたんだろう。
大小かなりの数の植木鉢が置いてあって、そこから小さい木が生えていた。
けど段々その家に近づくにつれてそれが木じゃないのがわかった。
遠くからだと電灯の光だけでシルエットでぼんやりしかわからなかったが近くで薄明かりの下で見ると全然違う。
たくさんの植木鉢から生えてる手だった。
さすがに本物の人間の手じゃなくてマネキンとかの手なんだろうけどとにかくその光景は恐怖を起こさせるのには十分だった。
すぐにその道を引き返してコンビニからいつもの道に戻って家に帰った。
ここで不思議だったのが、コンビニを出たのが夜の8時40分くらい。
これはコンビニでもらったレシートに表記してあったから間違いはないはず。
んで家に戻って時計を見たらもう11時近い。
一本の路地を普通に歩いて戻っただけで2時間も経ってた。
その日は晩酌する気もなく、酒だけ飲んでその酔いで寝るようにした。
次の日、落ち着いた頭でアレは何だったのかと色々考えた末、休日の昼間ならもう一度行っても冷静でいられるだろうと思いコンビニから昨日と同じ道を歩いたのだが、その路地がない。
何回か往復してみたのだけど、昨日曲がったはずの路地がなかった。
そんなバカなと思って、コンビニで地図を見たけど地図にもそんな路地は表記されてなかった。
昨夜通った路地とあの手の生えた不気味な鉢植えの群れは一体何だったのか未だにわからないままだ。