ある大学のサークルメンバーが卒業旅行をした際の話である。
彼らはレンタカーを借りてあちこちを回った後、その日の最終目的地、市街地から二時間の場所にある山奥の絶景に彼らは車を走らせていた。
最初、車内は大学での思い出話で盛り上がっていたが、さすがに疲れたのか言葉数もへり、運転していたY以外はみんな眠ってしまった。
『うあぁあぁああ!やめてくれーーー!!』
突然、Yが大声を上げた。
みんなウトウトしていたので何が起こったのかがよくわからない。
そこはやたらと曲がりくねった山道で、明かりらしい明かりもない。
そんな中、Yは真っ青な顔色で、しきりにカーラジオの電源を付けたり切ったりしている。
『おい、悪かったよ。交代しよう…ちょっと休め…』
心配したメンバーの一人が、Yと運転を代わった。
憔悴した顔で耳を押さえるYを助手席に乗せて車が発進した。
一つ目のカーブにさしかかったそのときー
『ううぅぅ……呪ってやる……』
車内が一瞬にして凍り付いた。
ふとYを見るとカーラジオを指差している。
『なんだ、カーラジオか…』
安堵したのもつかの間、彼らはカーラジオの電源がオフになっていることに気付いた。
カーブを曲がるたびに男の声が聞こえ、その声は大きく鮮明になっていく。
『ぎゃぁあああああぁーーーー』
彼らは急いで道をひきかえし、旅館に戻って女将さんにそのことを話した。
最初は黙って聞いていた女将さんは、ゆっくりとその口を開いた。
『あそこはね、有名な自殺スポットなんだよ。
そのうえ、なんだか奇妙な噂があって、カーブを曲がるたびにうなり声が聞こえるそうだよ。
それに驚いてカーブを曲がり切れずに事故死する人も後を絶たないみたい』
彼らが、そのまま車を走らせていたら、どうなったのであろうか…