不動産屋に行って借りたい部屋の希望を言ったら女の子が車で何軒か案内してくれた。
2軒回ったけどどうも気に入らなかった。
不動産屋には午前中に行ったけど3つめの物件に着いた頃には夕方になっていた。
そこは高層階のワンルームマンションで、俺が伝えていた希望とは明らかに違う。
前の2軒とも全然違う部屋。
なんでこんな部屋に案内したのか内心「?」と思ったが、瞬殺するのも角が立つので適当に部屋を見たり風呂を覗いたりしていた。
その間、女の子はなぜか薄暗い部屋の真ん中で立ったままだった。
俺は「全て見終わりましたオーラ」を放っているのだが、女の子は少し足を開いて立ったまま微動だにしない。
ふと顔を見ると妖しい微笑を浮かべていた。
鈍感な俺は仕方ないので見終わった感想などを伝えてやんわりと断った。
女の子はゆっくりと応じて二人で部屋をあとにした。
後になって気が付いた。
あのとき求められていた正解のリアクションがなんだったのかを。
でももしあのとき正解出してたら今頃怖かったはず。
病気が。