もういっちょ、最近の恐怖(?)体験をば。
奥多摩湖へブラックバスを釣りに行くのだが、周遊道路が通っている北岸よりも獣道しかない
南岸で釣ることが多い。
(不便=人が少ない=魚も用心深くない=よく釣れてウマー)
人の手があまり入っていないので、時折野生動物の痕跡を見ることができる。
熊が樹の幹を引っ掻いた痕とか、鹿の角が抜け替わって落ちたものとか、サルやリスやハチやヘビそのものとか。
とは言っても、獣道が延々と続く中にも、おんぼろのベンチのように休憩する場所も幾つかあったりする。
ダムサイト一帯は釣り禁止なので、釣りのできる場所まで行くにはいきおい獣道を一時間近く歩くことを余儀なくされるため、そういったベンチに座って休むこともあった。
獣道の脇に足首が隠れる程度の草むらがあり、そのど真ん中にベンチがあるのを見つけた。
ちょっと休憩していこうと草を踏みしだきながらベンチに座る。
背後には大きな石垣があり、ひんやりとした雰囲気だった。
座ってボケ~っとしていると、
ササササ…
と音がするのでその方をふと見てみるとアラレちゃんが棒に突き刺しているような、見事にとぐろを巻いているウンコがあった。
『うわっ。誰か野糞していったのかよ。きったね』
とか一人ごちながらウンコから視線を外すと、いつの間にか周りにも鮮やかな草の緑に映える白っぽい茶色のとぐろを巻いたり、曲がりくねったりしたウンコが少なくとも5、6個はあるのがわかった。
よく見てみると、それらは、微妙に動いており『マムシだ』と視覚から得た情報を元に脳がそう判断した瞬間、叫び声を上げながらベンチに立ち上がり、草むらを飛び越えて獣道を全速力で走って逃げた。
どうやら石垣がマムシの格好の棲家になっていたらしい。