小学生の頃の話だ。
札幌のとある古い町に住んでいた頃ガキ共の間ではたまり場となっていた公園があった。
その公園は河川敷にあり、ちょうえい橋という古い橋がかかっていた。
その橋は人は渡れるが専用歩道がない橋で子供が渡るのはとても危なく渡らないようにとよく親に言われていた。
しちゃいけないことをするのが子供ということで俺たち悪ガキ共はその橋をよく渡っていた。
その橋を渡るともうひとつの公園があり、ここも川の向こうの地域の街のガキ共のたまり場となっていた。
俺達は向こうのガキ共と喧嘩をする為によく遠征と称して出かけて行った。
そのちょうえい橋はたまに血のようなポツポツとした跡がついている事があった。
俺らはあまり気にしないで渡っていたが、ある日そのポツポツとした血の跡を追いかけてみようという話になった。
俺達はそれを頼りに進んでいくといつものたまり場となっている公園に着いた。
公園の地面はコンクリートなどではなく土なのでその血の跡は入口で途切れた公園の中をくまなく色々と探してみると河川敷の近くにカラスの死骸を見つけた。
カラスは目玉が飛び出していて、身体にはズタズタに何かで切り刻まれたような傷があり蛆やハエが湧いていて、俺達は気持ち悪くてすぐに逃げ出した。
数日後、その場所に俺達はまた行ってみる事にし、実際に行ってみたがカラスの死体は無かった。
おそらく保健所が片づけたのだろう。
ふと、俺達はあの橋の血の跡を逆にさかのぼったらどこに行くのだろう?と思ってみんなで橋に向かい、逆方向に進んでみた。
血の跡は橋の向こう側の公園の裏にある、木造で出来た古い廃墟のような家に続いていた。
そこは俺たちの間では「ネコ屋敷」と呼ばれていた家だ。
いつもネコがたくさんいて、誰かが住んでいるのかわからない家だったから。
俺達は中に侵入した。
家は廃墟で誰もすんでいないようだった。
中にはネコが数匹いて、「ニ”ァ~~~~!!!ニ”ァ~~~~!!!」と俺達を威嚇した。
台所のようなところいくと、カッターのような包丁のような血の付いた刃物がまな板にズブ!っと刺されていたの発見し俺達は怖くなっていちもくさんに逃げた。
それから数日間はその公園には近づかなかった。
だがある日のこと、当時うちには犬を飼っていたのだが、夜10時くらいにどうしても散歩に行きたいと犬が鳴いていてうちのおやじは500円やるから行って来いと俺を犬の散歩に行かせた。
いつもコースはあの公園を通るわけで、俺は嫌な予感はしつつも犬が公園に行きたがるので公園に行った。
公園につくとうちの犬が急に「ぐうぅぃぅっぅぐるるるるる」と威嚇する声をだす。
「わぉん!わぉん!」と俺を引っ張り、例のカラスが死んでいた河川敷まで来る。
すると、そこには髪が異常に長く茶色がかったもんぺを着た何歳ともわからぬ女がこちらを睨みつけていた。
その女は刃物を持っていて、足元にはカラスの死骸がある。
俺はその女と目が合った、体中に鳥肌が立った瞬間その女がすさまじい形相で、俺の方に走ってきた。
俺はびびって犬の手綱を放り出し走って逃げた。
逃げる時、家を特定されたらヤバいと思い遠回りをして走った。
もう足も体力も限界まで走って後ろを見た。
あの女は居なかった。
犬が殺されたかもしれない、どうしよう、親父に怒られるかもしれないと思いながら家に着くと、犬は家の前にいた。
無事帰ってこれたんだなぁと安心し、俺も家に入った。
しばらくすると、外から
「おかああああさああああああああああん!!!おがああああああさああああああああん!!!」
という子供が叫ぶ声が聞こえた。
どうしたのだろうと、カーテンの隙間から窓を見ると斜め向かいのアパートの2階のある部屋の前で子供が泣きながら叫んでいた。
そうしたらドアから母親らしき女が出てきて、子供の髪の毛を鷲掴みにし、ドアに引きずり入れようとした。
泣き叫ぶ子供を容赦なく引きずりこみ、ドアを閉めようとする瞬間女は俺の方を見た。
俺はその女と目が合った。
その女は間違いなく公園にいたモンペの女だった。