曰く付きの土地

曰く付きの土地 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

これは今からちょうど10年前の体験です。
私たち家族は夫と当時小学生の娘2人の4人家族で、夫の仕事柄転勤が非常に多いのです。
その当時も3年ぶりに関西エリアへの転勤が決まり、ある街の一戸建ての家を賃貸することになりました。
駅からは徒歩20分程度のちょっと古い住宅街でしたが、自転車でも駅前のスーパーなどの商業施設までわずか7、8分程度で着くためかなり立地の良い場所でした。

新しく引っ越した家は4LDKで庭も広く、たっぷり余裕のある家屋でしたが築年数は50年を超えたかなり古い物件でした。
ですが上記した他にも、学校も近いし大きな市立病院も自転車で5分程度のところにあって本当に便利でした。
また私達家族は転勤族なので、どうせこの新しい土地も3、4年くらいの任期かな…と思い、夫婦で納得して借りることを決定しました。
もちろん家賃も全て会社持ちでしたが、家賃補助の上限ギリギリでしたからこれ以上の贅沢が言えるはずもありません。

そんなこんなで新しい土地での生活が始まったのですが、3ヶ月ほど経った頃でしょうか。
今まで大病一つしたこともなく、風邪も滅多にひかない私が胆管炎を起こしてしまい、3週間の入院生活を強いられることになりました。

引越しの疲れからきたのだろうということでしたが、一時は肝臓にまで炎症が及び、顔が真っ黄色になる黄疸まで起こし本当にひどい目にあいました。
幸い治療の甲斐があり予定通り3週間ほどで無事退院することができましたが、それ以来体調はあまり優れず疲れやすい日々が続きました。

それからほどなくして、今度は長女が扁桃炎による喉の腫れで呼吸困難に陥ってしまい、救急車で搬送される騒ぎが起きました。
空気の通り道の気管がほとんど腫れで塞がれてしまい、窒息寸前の非常に危険な状態でした。

この土地に引越してきてからわずかの期間に私が倒れ、続いて娘が倒れた…。
なんとなく嫌な雰囲気を感じるようになりました。

夫には家に何か問題があるのかもと相談したところ、仕事で忙しくしていたためか
「そんなことあるわけない」
と一笑に付され、その話はそのままになっていました。

そして数ヶ月後、次女が自転車に乗って塾に通っていた際、急に曲がってきたミニバンに接触してしまいました。
腕と肋骨を骨折し、幸い命には別条はありませんでしたが、腕は手術をしなければならないほどの複雑骨折でした。

2度あることは3度あるとよく言いますが、まさにその通りとなってしまい、この時点で夫を除く家族全員がなんらかの病気や怪我に見舞われたのです。
これはもう偶然ではないのではないか。
そんな思いが出てきた時、ちょうどご近所の奥さんからとんでもないことを聞いたのです。

この住宅街のある一帯はかなり昔から、広大な墓地があったというのです。
それが戦後の区画整理で全て掘り返されて、他の墓地へと移されたらしいのです。
ですが今も時々地中奥深くから人骨が出てくることもあるらしい、そんなとんでもない話でした。
いわば私達家族の住む家は、曰く付きの土地に立地していたのです。

背中が汗でびっしょりになるほどの恐怖を覚えた私は、すぐに夫へこの家を出ることを強く主張しました。
話を聞いた夫もさすがに青ざめた顔をしていました。
次は自分の番かもと思ったら恐怖心でいっぱいになったのでしょう。
本当に夫へ何かがあってからでは遅いと思ったので、私達は賃貸契約の途中では違約金が出るにもかかわらず、新しい家を探しを始めました。

そして1週間で新しい家を見つけたので引越しをしようというその矢先、夫が仕事中に尿路結石で救急病院へ運ばれました。
幸いにも夫の容態は安定していて、あとは石が尿と一緒に出るのを待つだけという診断結果でホッとしました。

その後、新しい家に移ってからは何事も無くなり静かな日々を送ることができています。
こんな事が本当にあるのかと今でも感じますし、ただの偶然かもしれません。一連の不幸と土地との詳しい因果関係もわかりません。
ですがもし家族へ不運が続いている場合、そういった側面も一度疑ってみることをお勧めします。

あなたの住んでいる土地は大丈夫ですか?

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