相乗り

相乗り 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

僕が小学の低学年の時に、親におつかいを頼まれました。
おつかいを済ませて、自宅マンション(オートロック式)の暗証番号を押して扉を開けて、エレベーターホールに向かい、エレベーターが降りてくるのを待っていると、すぐに後ろから足音がしました。
振り向くと、目が細く切れ長で、印象の強い顔立ちの男が立っていました。
僕が開けた時に、すぐ後ろから入ってきたようです。

エレベーターが到着して乗り込み、僕は『開』のボタンを押して男を気遣いました。
僕は自分の家がある4階のボタンを押しました。
僕は男に「何階ですか?」と聞きました。
すると男は、「屋上は行けるのかな?」と質問してきました。
僕は屋上に出入りしたことがなかったので、「分かりません」と答えました。
僕の応答に男は無言でした。

なんとなく嫌な空気だと思っていると、4階に到着しました。
扉が開きホッとした瞬間に、男が突然素早い動きで『閉』ボタンを押しました。
僕は何事かと思い男の顔を見ると、「屋上に案内してくれる?」と男が言いました。
僕は少し怖くなり、何も言えず黙っていました。
エレベーターを降りると、屋上に続く階段は大きな南京錠と鎖で閉錠されて、行くことは出来ませんでした。
すると男は、僕の半ズボンの裾を掴み歩き出しました。

僕は怖すぎて震えながら思いました。
「この人目つきがおかしい」と…。
まさに、死んだ魚の目でした。

震えながら外の非常階段(10階)まで歩かされました。
男は階段から頭を出し、下を見下ろしました。
そして、男は僕の方に顔を向け言いました。

「ここからなら大丈夫だな。死ねるな」

僕は男の言葉に凍りつき、絶望的な状況であることに気付きました。
男は僕を見つめていました。
僕は目の前が現実なのか夢なのか、夢であって欲しいと願いました。
けれど、紛れも無い現実だと把握すると、僕はいてもたってもいられず叫びました。

「うあぁあぁぁ!!」

非常階段を滑り落ちながら降りました。
本当にすべり台を滑るように降りました。

必死で滑り、家のある4階まで着き、家の中に飛び込み母に説明しました。
母が警察に連絡するとすぐに駆け付けてくれて、マンションの外をウロウロしていた男は捕まりました。
僕は母に抱き着いて泣きましたが、男も捕まり、また穏やかな日々を過ごしました。

それからすぐマンションを引越して、実家は一軒家を立て、僕は就職して一人暮らしをしています。
今年の4月に、久しぶりに何日か実家に帰りゆっくりしていて、少し散歩をしようと、一人で近所をブラブラしていました。

しばらく歩き、喉が渇いたのでコンビニに入りました。
飲み物を買って、コンビニを出て飲みながら歩いていると、見覚えのある人が歩いてきました。
僕はその人を見た瞬間に全身の血の気が引きました。
あの男だったからです。
男は恐ろしいくらい容姿がそのままで、何より目つきがあのままの男でした。

今になってこうして人に言えたりするようになりましたが、昔は口にすることさえ恐怖でした。
今生きていることが嬉しいし、殺されくてよかったです。
死ぬなら一人で死ね!と言いたい。
ってか男は生きてたけど。

あの事件から、今もエレベーターはなるべく相乗りは避けています。
不景気でおかしな人が増える一方なので、本気で気をつけてください。
あんな思いは誰にもして欲しくないっす。

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