フランスの広場

フランスの広場 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

私は国際結婚をしてフランスに住んでいる、30代の主婦です。

私はもともとフランスに造詣が深かったわけではなく、たまたま結婚した夫がフランス人であった…という理由でこの国と出会いました。
ですからフランスの歴史や文化に詳しいということもなく、こちらに来てから改めて地元の歴史を知って行くという、現在進行中の勉強スタイルとなっています。

住んでいるのは小さな地方都市ですが、たまに家族で他の地方や観光名所を訪れることもあります。
とても楽しい一時なのですが、困ったことに私はいつも気分を悪くしてしまうのです。

当然ながら、旅行の前には特に気を付けて体調管理をしています。
なのに目的地へ着いた途端に車酔いが激しくなったり、人の多い広場の繁華街・観光ポイントに来たところで、急に言い知れぬパニックのような状態になります。
冷や汗が出てお腹が痛くなったり、こみあげるような吐き気や頭痛などが起こるのです。
めまいがして急に周囲がぎらぎらと明るく見えるようなこともあります。

この症状はごく短いもので、「まずいな!」と感じたら人ごみを離れ、静かな場所で休憩をするとたちどころに良くなります。
人が多い所で緊張しているのかしら、とも思うのですが、それにしては頻度が高いので変だと思っていました。
かかりつけの医師に話して検査を受けてみたこともあるのですが、私は少々胃腸が弱いものの、健康体で何も問題はないという結果です。
私はわずかに霊感があったので、まさか霊的なものかもしれないという疑いもありました。

そんなある時期。
子供の社会科見学イベントで、住んでいる町の広場を徒歩横断して移動する機会がありました。

慣れているはずの地元の町でも、その広場を通る度にやはり気分が悪くなるのです。
必死に歩いて別の場所へ移動すればすうっと楽になるので、一体何故なのだろうと疑問でした。
試しにその日は広場を通らない回り道をしてみたのですが、あの異常な不快症状は全く現れないのです。

そこで今までにも、私は各都市の「広場」で症状を起こしていることを思い返しました。
ひょっとしてフランスの「広場」というのが何かキーワードなのではないかと、ハッと気づいたのです。

多くの場合、フランスの町には多少なりとも中心としての広場があり、例えば歴史的ゆかりのある人物のブロンズ像や、オベリスクなどのモニュメントが据えられていることがほとんどです。
2つの世界大戦における戦没者慰霊碑があることも多いので、もしかして昔の兵士たちの霊的なものが日本人である私を拒んでいるのだろうか…?とも考えました。
ところが、今まで巡った場所の広場について見返すと、戦没者慰霊碑がある場所はごく少ないのです。

さらに広場について調べてみましたが、これといってピンとくるものは見当たりません。
スピリチュアルな原因ではなく、単に私が広場恐怖症なのだろうか…と考え始めた頃、たまたま一緒に趣味のサークルをしている年配の男性が地元史に詳しいということで、ある話を聞きました。

「フランスの広場の特徴?あぁ~今でこそ市民が憩ってはいるけどね。

フランス革命の後からは、広場にギロチン台が置かれて、処刑が頻繁に起こっていたんだよ!
パリのコンコルド広場なんかは有名だし、僕らの地元の広場も例に漏れずそんな場所だったのさ。」

明快に答えられて、私はその場でめまいを起こしました。
今でこそ痕跡のようなものは無く綺麗に片づけられているものの、フランスの広場は昔、処刑の場だったのです。

多くの人々がここで最後の苦しみや恐れを極度に味わいつつ亡くなっていったのですから、これは局所的に無念がこもっていても当然の場所と言えるのは容易に推測できました。
私の霊感は微妙で、体質的に敏感ではあるものの、ほとんどの場合で霊を視覚的に感知することはできません。
ですが今まで訪れた名所、すなわち過去の処刑場において私の体調が急激に反応したのは、これが原因だと今は確信しています。

この話を聞いてからは、私が観光名所を訪れる際には広場へ足を踏み入れることはせず、遠巻きな景色としてのみ楽しむようにしました。
それからというもの体調不良を起こすことがなくなったので、家族からは「最近調子がいいんだね、良かったね」と素直に喜んでもらえています。

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