兄貴の話で、別に怪談でもないんだがエレベータに乗ると幽霊の声が聞こえるって噂のマンションがあった。
そのマンションでは、誰かがエレベータに乗ってる時にどこからか声が聴こえてきて「おやじ」とか「いないのに」とかぼそぼそ喋。るらしい
声は、男性の低めの小さな声で、聞き取りにくい感じで喋るらしい。
何回か同じような声を聴いた人がいて、最後に聴いた人の話では「おやじ」って繰り返し呟いていたらしい。
その内、エレベータの幽霊のお祓い?お清め?を行ったらしい。
それからしばらく、声は聴こえなくなったらしい。
だが、しばらくして、またエレベータで前よりゆっくりしたくぐもった声で「おやじ」っていう声が聴いた住人が出たらしい。
ここから俺の兄貴の話になるんだが俺の兄貴は基本的に不真面目な性格で、なんというかきっちりしてない。
仕事の空き時間に携帯ゲームで遊んだりしてるくらい不真面目でエレベータの点検・保守の仕事をしていた。
幽霊の原因は、前年に例のマンションを定期点検に訪れた兄貴が、卵型のおもちゃをエレベータの下(緩衝器がどうとか)に落としたのが原因っぽい。
しかもそれは、真ん中のボタン押すと「親父にもぶたれたことないのに!」って喋るやつだった。
兄貴はエレベータの定期点検で管理人さんからその話を聞いて死ぬほど焦ったらしい。
すぐに原因に思いいたって、点検の際にこっそりおもちゃを回収したとか。
ただ、そのおもちゃはもうボタンを押しても鳴らなくなってて、完全に壊れてたみたい。
兄貴が回収した後も、未だにエレベータの幽霊は出続けているらしい。
兄貴はというと、本物の幽霊を呼びこんじゃったんじゃないかとかいってびくびくしてる。
俺は多分、今出てる幽霊は神経過敏になった住人の気のせいだと思ってる。
もし、都内近郊のマンションで似たような話があったら、その元凶はおもちゃの声なのかも。